人狼物語 三日月国

246 幾星霜のメモワール


【独】 遊蕩 ディルク

街から足を遠のけて、森の中。

いつものようにキャンディを口に含み、
ころころと音を鳴らし転がして。
自由に飛ぶ蟲達を眺め溜息吐き出す。

「……未練、はないんだよね」

どちらの世界にも。
男の帰りたい理由は些細で、誰よりもきっと小さい。
ここにいたい理由もまた、同じ些細かもしれないが。

「生きるって難しいや」

のらりくらりと風任せのように生きてきた罰だろうか。
兄を追うことを止め、楽に生きてきた罰だろうか。

何にしても、選択の権利を得るべきは己ではなかった。
もしも、彼ら痣持ち皆がそうであるとするのなら。
(-32) sinorit 2024/02/18(Sun) 22:40:47