【独】 リヴィオ痛みが体を支配する。 体が熱くて、 寒くて、 息をすることが苦しい。目を覚ましているのなら、そう感じていたはずだ。 目を、覚ましていたのなら。 夢を見る。何年もずっと、ずっと、俺に付き纏う夢。 ここ最近は頻度が増して、満足に眠れない夜を過ごした。 だから今日も、同じように起きてしまえたなら。 それなら、その方がきっとまだマシだったのかもしれない。 『要らない』『要らない』『あんたなんか要らない』 『死ね』『死んじゃえ』『産まなきゃ良かった』 どこか怯えるように体を丸めたのは、 きっと誰も、その場には誰も見ているはずもなくて。 精神的にも肉体的にも疲れ果てていた男は、 小さく苦痛の声を漏らし、震えるように熱い吐息を零す。 『…本当に必要とされていると思ってる?』 『そんなの嘘』『全部嘘』 『誰があんたを肯定するの?』『嘘に縋って馬鹿みたい』 『さっさと死んで』『幸せになるなんて許さない』 これはきっと、俺の心で。否定するばかりの、俺の心で。 分かっているのに足掻けなくて、止まらなくて。 逃げたい。ひとりは怖い。苦しい。恐い。 ▽ (-62) sinorit 2023/09/28(Thu) 3:13:53 |