【秘】 9949 普川 尚久 → 8435 黒塚 彰人「そぉ」 当然のように返された答えに、いやに冷めた、短い音が返った。 「……ひどいことはされたくないな、殴ったりしないで…? 少しいたいのくらいは、まぁ、事故じゃないかな……。 …事故じゃないくらいの、いたいのはいやよ?」 誘っておきながら興味がないのか、それとも緊張しているのか。歩き出してからは、普川はあなたの方を見ようとしなかった。立ち姿や座り姿はそうでもないが、歩く時の姿勢はいいなと思ったかもしれない。 両手で抱えるように持っていた鞄を片手に移して。それから少し重量感のある金属の引戸を開く。鍵はかかっていなかった。 「……使えってことらしいね?」 明かりをつければ、話に出した陸上競技用のマットだとか、一部の物が真新しげに見えた。主催側からはこの場所の使用は想定されているようだ。 (-86) 2021/09/16(Thu) 13:25:36 |