【秘】 『巫覡』 ロベリア → 蒐集家 テンガン目眩を感じたように視界が揺れた。 声を、息を飲む音を零しかけて、堪える。 こんな近くにいるから、鼓動から伝わるのだろうか。 … でも 大丈夫、ボクはもう、大丈夫。苦しい。 髪に触れた手は一瞬強ばるように固まって。 ――…撫でる。柔らかく、壊れ物でも扱う様に。 「…………何処に、連れてってくれる………の」 迷うような足取りは感じていた。 だから君が最後に決めた目的地を知らない。 目的地がなく、人のいない方に進んでいた事も。 本当は別に、これが気になったから名前を呼んだわけじゃない。 でも 君の声を聞ければ、今の思いももう少し治まるかなって。 (-105) 2022/03/09(Wed) 1:17:42 |