人狼物語 三日月国

224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】


【秘】 リヴィオ → 口に金貨を ルチアーノ



重い瞼を何度か緩慢な動作で繰り返し瞬かせ、
霞む視界の中徐々にピントを合わせていけば、
眠たげな、大きな猫友人の姿が視界いっぱいに映される。
何を言おうか。男の口が幾度か動かされて。

「…………ル、チ……ルチ、アーノ…………………?
 …目を覚まして直ぐに、色男の顔が……見れる、なんて。
 俺は……、しあわせものってやつ……、かな」

名前を呼び、"いつものような"軽口を紡ぐ。
しかし、ただそれだけという訳ではなくて、
己に触れる熱を求めるように、
痛みを感じながらも
指先を動かし軽く、その手を掴んだ。

「……あー………すまない…、迷惑心配、かけたね。
 子守唄は、そうだな……もう一度眠って、いいのなら」

君の子守唄を聞けばよく眠れるかな?
浮かぶ台詞の代わり、小さな笑い声を零して、
幼子のようにへにゃりと笑った。

それは今まで生きてきて、誰にも見せなかった弱さだ。
見せたくなかった弱さだ。……けど。
異様に熱い体が、響くような頭の痛みが、
折れた左腕が、血のにじむ右手が──全てが限界で、

誰かに手を伸ばすことに臆病な男が、
弱さを見せるきっかけとなってしまった。
(-106) sinorit 2023/09/28(Thu) 20:14:41