![]() | 【秘】 歪な魚 アルレシャ → 衝撃波 ポルクス分かった、と声がするので、少しだけ笑った。 言ってみてよかった、とも思った。 きっとそう思ったことは後で忘れてしまうが。 いつもはされるがまま、丸まるように小さくなるものだけど。 貴方の腕の中、胸元に自ら耳を寄せた。 鼓動が聞こえる。 ーー戦場では銃声が子守唄なんだ。静かすぎると眠れやしない。 近くで聞こえる、この鼓動が心地良い。 頬を撫でられる頃には、もうほぼ目は閉じかけていた。 あぁ、もう一度うまく眠れるだろうか。うまく眠れるといい、貴方がいるなら。 「……おやすみ、ポルクス」 言ったきり、そう時間もかけずにアルレシャからは寝息が聞こえてくるだろう。 いつかのように魘されることもなく、眉間に皺を刻むこともなく。安らかに。 死を待ったあのときのように。 目が覚めれば、きっといつも通りに戻っているのだ。 貴方が起きる頃には全て思い出して。 そうして、……貴方を何度か撫でてから、部屋を出ていくはずだ。 (-113) 2022/03/09(Wed) 2:27:19 |