【秘】 『巫覡』 ロベリア → 蒐集家 テンガン部屋の鍵はそもそもかけていなかった。 理由は起きて直ぐに飛び出すように処刑室へ向かったから。 だから「鍵は閉めてないよ」と君に伝えたはずだ。 下ろす素振りが無い事には僅かに不思議そうにはする。 が、表には出さない。掴んでいる手も添えている手も離れない。 下ろされる際でなければ、離す理由も無い。 ポッドにいた際には体は温かくとも冷えて、けれど今は君の熱が混じり心地よい体温を有していると感じる。 ベッドに着いてからは擦り寄るように君の身に額を寄せて、頭に添えた手は君の髪を緩く撫でた。 離れたくない。 そういえばここまで君の顔を見る事は叶わなかったが。 ……今ならどうだろう。手はそのままに、覗く事は叶うか。 叶わずとも君の熱を、味をより良く感じられるならばそれでも。 それがどんなものであれ、君を知りたい。欲しいと感じているから。 (-115) 2022/03/09(Wed) 6:18:38 |