
![]() | 【秘】 天泣 トウカ → 黎明 ロウ>>-115 「私も嫌よ、貰ったお薬で貴方を何度も蘇生するのは」 かといって悪魔の蘇生待ちをするようになるのは嫌だな。命の価値を忘れてしまいそうで。やっぱり聖職者組と貴方を健やかに生かすには此方の世界が正しいのだろうな、きっと。己一人が死ぬだけならまだしも、周りが死ぬのは頂けない。 ゆるく思考を投げた折、ふと視線に気が付けばくつくつと笑いもしたんだろう。 「ジト目より上目遣いがいいな♡」 なんて舐めた口も叩きながら。さて、どうかな。数十年生きたって、きっと貴方達短命種のことは何一つ理解出来ないままかもしれない。短い命を精一杯に謳歌する貴方達を見て何も思わない訳ではないけれど、やっぱり長生きしてほしかった、と思うのだろう。 それでもきっと、貴方達を忘れたくはないな。忘れられないような想い出をくれたらいい、とも思う。いつか少しずつ記憶が劣化して、褪せて掠れて忘れてしまうとしても、ふとした時に思い出せるように。 全て抱えて生きるから。貴方達の墓の傍で百年でも待つから。早く逢いに来てね、って。墓に向かって語るのだろう。素直じゃないのは女狐も同じだ。 「やん。本気で泣かせたいの? ……なんてね」 「…………ああ、成程。瘴気が深い所。 場所によっては蘇生すら難しいものね」 貴方が庇わなければ友人は死んでいたのだろう。それは貴方も仲間も望んだ形ではない筈だ。 さりとて命あっての物種とは言うが、重度の障害を残して生き返った友人が『生き返らなければ』と思うのも無理はない。己だって同じ状況に陥れば『どうしてそのまま殺してくれなかった』と恨み言を言わないとも限らないのだから。 「……まあ、正解なんて無いんでしょう。 それでも今しか知らない私が言えるのは、そうね。 ロウ。貴方が今五体満足で生きてて良かった、ってくらい」 「いつか胸を張って『俺の選択は間違ってなかった』、って。 そう言える日が来ればいいわね。……遠い未来だとしても。 少なくとも私は間違ってなかった、と思うし」 無論、自分の命は粗末にしないに越した事は無い。その上で周りも救えたらいい。とても難しいだろうけれど、貴方ならばきっとそれを叶えられるのだろうから。今後もそれを応援しよう。 珍しく貴方が自身について語るのを満足気に眺めながらウイスキーをもう一口。 「ところで元カノちゃんはご存命? どこのギルド?」 (-121) 2026/07/22(Wed) 16:06:32 |