【独】 Ninna nanna ビアンカ――――― AM03:22 ――――― 「――………ヴェル、 デ?」 自らの瞼の隙間に浮かぶ、涙の重さで目が覚めた。 ノイズまみれのように暈ける視界、肘や腰に残る鈍い痛み。 低く呻きながら体をよじろうとして、両手が頭の上で何かに引っかかったように動かないことにようやく、気付く。 ――気が付いてしまえば、あとは一瞬だ。 ノイズが補正されるように、周囲の様子が視界へと入ってくる。 「………は。 最悪」 恐らくは、ワンボックスカーの車内。窓は完全に目張りされていて外の様子は分からない。 自分は両手をダクトテープで拘束されている。 周囲には5人──いや、運転席含め6人の男性。 白人。武装はそれぞれが銃、あるいはナイフ。 顔は隠していない。 「………」 その状況を確認した時、 ああ、私は死ぬんだな、 と思った。 顔を隠す必要がないのだ、こいつらは。 (-136) 2022/08/29(Mon) 18:46:14 |