![]() | 【独】 摘まれた花 ダニエラ>>-131 >>-132 痛む身体を引き摺り、足取り重く。 それでも可能な限りしっかりと歩いた。 少し小柄な茶髪の後ろ姿にライムグリーンを重ねる。 それで、一瞬揺らいだ心を落ち着ける。 エリーの心などがもっと? 警察に潜入して2年。 あなたに会うのは殆どがあのモーテルだった。 だからではないが、多分女は知らなかったのだと思う。 乗り込んだ車。あなたの運転技術。 文字通りの痛い思いをした。…いやまあ、ちょっと響いたくらい。 「おー…。」なんて間の抜けた声も上がったと思う。別に怖くないわけではなかったはずだが。 「…ありがとお。」 運転手が変わり、一頻りの手当が終わるとだいぶ楽になった。 そうしてやっとへにゃと笑って、「ただいまあ。」って。 ともすればあなたの言葉を聞き終わるまでもなくやおらにその身体へとしなだれかかったかもしれない。 …決して聞いていないわけではないのだ。 ただそうしながら聞かないとまた不安な心地がしてしまっただけで。 (-140) 2023/09/29(Fri) 0:17:42 |