【独】 Ninna nanna ビアンカ>>-143 「兄貴、今……」 「あ?」 運転席の男が、端末を手に声をかけてくる。 「ダニオのやつ、店の前で捕まったって…」 「……」 ぷは 、と。思わず、笑いが漏れた。不覚だけど、もうどうでもいい。 あいつら、うまくやったのだ。 じゃあもう、私は無理だ。 「おい」 「っぁぐ」 噴き出した私のこめかみを、男の靴が踏みつける。 苛立っただろう、そうだろう。 けど、もういいのだ。 あの子たちがうまくやったのだから、私は腹いせに殺される。 あーあ、もう無理だ。そう思うと、さっきまで、 「あんたのちんこを舐めてたの、ばからしくなってき」 がん 、と。顔面に叩き込まれた爪先に、言葉と息が飛ぶ。 火花がばぢばぢと目の奥底で飛び散って、叩きつけられた背中がとにかく痛い。 (-144) 2022/08/29(Mon) 18:53:51 |