【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラ診察室に靴の音を鳴らしながら入った。 一切の警戒はしていない。 「気が滅入ったとは、面白いことを言いますね。 あなたが、殺したのでしょう。 咎めませんよ、都合が、よかったのでしょう」 淡々と、静かに告げる男の瞳には感情が伴っていない。 わかっていた、―――最も早く女子供が犠牲になっていくことぐらい。 一番弱くて、体力を使わず、陥れやすい存在だと。 そしてこの男は霊体というものを皆が見れると勘違いしている。 誰もそれを指摘してくれなかったものだから。 「 『約束…破ったら針千本だよ』 そう、ニエカワさんはおっしゃられていました。 どんなお約束をしたんですか?」 (-149) 2021/07/07(Wed) 7:30:25 |