【独】 被虐 メイジ──手術室の帰り。 借りている一階の病室へと足早に駆け込んだ。 全身の力が抜けたように膝から崩れ落ちて ベッドに顔を伏せた。 「──っ……うぇ……げほっ……」 気分が悪い。胃からなにかがこみ上げてくるのを我慢した。 誰かに聞こえないように、声を潜めた。 「…………」 「……オレは、まだ、大丈夫」 そう、言い聞かせて自分を奮い立たせた。 そうだ、いつもこうやって部屋の隅で、我慢してきたんだ。 この程度、どうってことない。 (-161) 2021/07/03(Sat) 22:34:18 |