【秘】 欲しがりな ロベリア → 蒐集家 テンガン握り返すような力を感じて、不意に視線を上げる。 そうして数秒、君を翡翠に映して 緩く笑む。 一瞬だとしても、この瞬間に強く幸福を感じている。 こうされると とても好きだと、思ってしまう。 君の手の力が抜けて、こちらがただ握るだけに戻っても熱を離す事は無い。 むしろ緩やかだったはずの力は少しずつ増して、離れる事を拒むように君の手を握り込んでいる。 「………好き」 口から出る言葉は短く、思いを伝えるというよりは独り言のような。 どうしようもなく強い感情で君を欲してしまう。 最初は知ったような言葉を零す君を嫌いだと感じて。 けれども君はそんな 空っぽな ボクに居場所をくれた。……殺そうとしたのに。 与えられる事が嬉しくて、縋り、求めて。 君という存在を特別に感じて、知りたいと願い 欲した。 この思いを抱く事が許されないとしても、もう離せない。 …この思いは、確かに ボクのもの 。君を愛している。 欲だらけの思考にほんの少し嘲笑を零しそうになる。 ほらね、ボクは神子なんて器にはなれないんだ。 でもそれでいい。人らしく生きる事を、望まれている。 「………温かい、な」 (-191) 2022/03/10(Thu) 1:33:05 |