人狼物語 三日月国

224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】


【独】 歌うのが怖くとも カンターミネ

「5番から8番。23から26、拡大。……違うな」「12番のこれは?」「違う、下水はとっくに抜けてるはずだ」「車の事故の報告」「車種は?」「俺が分かると思うか?」「何の為に情報チームやってんだバカ」「『先生』がキレる前に出せ」「……出たぞ、フィアット500」「渋いな……」「待て、フィアット?」「どうした」「確か黒眼鏡の旦那の店から出てった車の映像、監視カメラに」「回せ」「赤の……フィアット500!」「先生の虫を辿れ!」「45ブロックの監視カメラに該当アリ!」「時系列順に!」「中心部から随分離れてくぞ」「……もしかして、"港"じゃないか?」「一番近くのドローン回せ!」「2番ドローンが向かってる」「映ったか?」「いや……」「待った、橋の辺りに確か虫置いてたろ」「それだ、映像は?」「――通ってる!」「来たぞ!時間は!?」「12分前!」「このコースなら港湾倉庫だ!」「空撮は?」「待ってろ……あ!」「居たか!?」「居た居た居た!赤のフィアット500!」「旦那の港湾倉庫かよ!」「あそこかあ」「そりゃ見つからんわ……」「感心してないで連絡しろ!他の奴より先に先生を送り届けるんだ!」「了解」「あいあい」


情報チームの精鋭が目標を捉えるまでかかった時間は、
他の連中に比べれば随分短かった。
その理由があるとすれば、普段から『先生』が、
あちこちにばら撒いていた虫のおかげだろう。

今回の法案の事件のような、特定個人の会話を聞いたり
ある一定の人間だけを追い続けるというような
局地的な精度を要する物には効果が薄い一方で。

『何が、どこを、いつ通過したか?』

そういったものの情報に関しては、カンターミネの虫と、
情報チームの連携による『網』は無類の強さを発揮した。
秘匿回線によるメッセージが届けられ、
カンターミネの目に入るまで数秒。

「――来たか。」


少しの不安と、覚悟を混ぜた呟きが小さく漏れる。
気が付けば外は夕陽で赤く染まっている。
顔に不安が出ないよう"王子様"の顔をしてから、
彼女を出来るかぎり優しく起こす。

そうしておよそ15分のラグを経て、
カンターミネとダニエラを乗せた車が、港へと走り出した。
(-372) shell_memoria 2023/10/01(Sun) 2:45:20