人狼物語 三日月国

224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】


【独】 摘まれた花 ダニエラ

>>-372

目覚めてから車に揺られている間も、女はあなたの傍を離れようとしなかった。
どうして港なんだろう。
アジトに置き去りにした荷物のことを思うと、余計な期待をしないでもなかった。
しかし、まあきっと違うだろうなとどこかでそう感じてもいる。だからこれは余計な期待なのだ。


一度の仮眠を経て頭はだいぶスッキリとしている。
スッキリとしたからこそ、これからの意味を考え始めていた。
こんなに慌てなくたって、案外何とかなる我慢できると思い始めている。
檻の中のあの人に、自分が向けた言葉も思い出していた。
…あの人はあの時、本当に正直だったんだなと今なら思える。
それがこんなに早く来たことに勝手に傷ついているのはきっと自分が悪いと、納得する我慢できるだけの準備すら整っていた。
多分、このときには感じていた『不安』の意味が変わっていたのだと思う。
ずっとずっと、浮かぶのは、こんなことしてどうするんだろうって逃げるみたいな思考だったから。
…それが逃げだと自覚もある分、やっぱり損をしているのかもしれないけど。


「…。」

女は静かだった。目的地に着くまで、本当に静かなものだった。
それでいてずっと、意味を考えていた。
そんなものなく博打に出たってよかったけれど、博打には最近負けたばかりだから尚更に。

聞きたいことじゃなくて、████ことにしてしまったらどうだろう。
それに至ったのはきっと、車が目的地に到着する、本当にぎりぎりのことだった。
(-374) 2023/10/01(Sun) 5:48:38