人狼物語 三日月国

224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】


【独】 歌うのが怖くとも カンターミネ

>>-374
ずっと傍にいた女は、静かなあなたを見ていたけれど。
ふと、端末の時間を見てああ、と声を上げた。

「……エーコ、肩の鎮痛薬そろそろ切れるから。
 新しい軟膏使うな?脱ぐの大変だろうし
 勝手に手ぇ突っ込むから、痛かったら――」

固まったように。1秒か、もう少し。空白のあと、口を開く。

「――我慢せずに、言ってくれ」

それが、女にとって今一番口から出て欲しかった言葉、なのかもしれない。襟の辺りからそうっと、震える手を入れる。なんだか、悪い事を言ってしまった子供のように、あなたの表情を窺った。
それで肩になるべく負担のないように留めていたガーゼを少しだけ捲って、一度抜いて。それから軟膏を指にとって、また入れて……。無言のままに、治療を施した。

それから、目的地に到着する前の頃までは、
あなたの手を握ったまま、端末からの報告を読んでいた。
中身はまるで頭に入って来なかったが。


そうしてふと、口火を切る。

「……エリー。ひとつ「お願い」があるんだけどさ」

切り出した一言は、長年の付き合いでも珍しい言葉だった。
(-403) 2023/10/01(Sun) 18:00:26