【見】 天狼の子 夜長>>7 百千鳥 こくり、頷いた。雪子さんのことです。 「ありがとう、モモチさん。……ああ、そうだな。 俺も、かくれんぼで見つかる時は、最後の方だから」 こくり、またひとつ。それがさみしいことなのは、よくわかる。 「雪子さんは、隠れるのも見つけるのも上手で。 俺は見つけるのは上手でないが……早く見つけられるといいな。 昨日みたいな賑やかな場に、母さんがいないのは本当にふしぎ」 水鉄砲を手にしたあなた達がとてもたのしそうだったのだとか、初めての釣りで大物を釣り上げたのだとか、この村に来て彼女に話したいことが積もっていっている。 「あ」 思い出したように、雪子さんを見つけたら自分に知らせるか、家に顔を出すように言ってほしいとの旨を告げる。夕凪夜凪の親族なのが一目見て分かる程度であるとのこと。 「モモチさんは、まだ他の人にも声を掛けていく、よな? また後で、よろしくお願いします」 控えめに片手を上げて。手を振るのか振らないのか絶妙に判断しがたいが、彼の思考自体もそんな感じだ。あなたがまだ話す気配があるのなら、手を下げるつもりでいる。それくらいの。 (@2) 2021/08/13(Fri) 0:31:57 |