【見】 遅刻魔 矢川 誠壱まただ… [ まただ。そう、また、なのだ。] 完全に出遅れてる。 [ 体を動かすと、ギッと唸るスプリング。 青年は黒髪をくしゃくしゃと両手で混ぜ、 掻き上げてから顔を覆い、深く息を吐いて、 枕のすぐ隣にある携帯電話のアラームを止めた。 …正確にはきっと数度目のスヌーズを止めた。 5回くらいみた。なにかの見間違いかと。 部屋の時計とも見比べた。 カーテンの外もみた。 けれど、スマートフォンが示す時間と 部屋の時計が指している時間は同じだ。 外はあの日のように薄暗く、紛らわしい色を しているわけではない。むしろいい天気。 間違いない。わかってる。 こんなことは、今まで幾度もあった。] (@2) 2020/11/23(Mon) 9:52:25 |