【見】 療育 クレイシチサという小さな子供の看護は自分が担当していた。好奇心旺盛で、小さいながらに人を気遣える節のある子供だった。 嵐が本格的に酷くなり始めた頃、あの子は窓を見ながら泣いていた。 「自分の家は小さくて、こんな雨では流されてしまうかも」と。 「お母さんもびょういんに来てほしい」と。 「そうじゃないとお母さんが雨に流されてしまうかも」と。 何度も宥めた。何度も詭弁で押さえつけた。 それなのに、あの子供は。 唐突にいなくなってしまった。 ▼ (@5) 2021/07/11(Sun) 18:04:22 |