【見】 こわれていく レグルス>>+132 シトゥラ >>@13 「───う、」 まず、呻き声があった。次に、顔を抑えた。 まるで何か、有害な物が箱の内から零れ出て、 肺が満たされるまで吸い込んでしまったような、そんな反応の有様だった。 そして、外見の変化以上に、内面は── (なんだ) 殺意を抱いていた。殺そうと思っていた。 それでもまだ、他の思考の余地はあった。 憤怒であったり、傲慢であったり、 けしてよいと言えない感情の数々でも、確かにあった。 水に墨汁を垂らしたように、それらは染まって消えた。 (……こ 殺したい) 残ったのは、 純然たる殺意 (殺したい 殺したい 殺したい 殺したい 殺したい…… ああ、殺したい 僕は、一体、 ──誰を殺せばいい?) まだ親を見つける前のひな鳥のような、思考の隙間。 ──きっと、たとえ肉体を持たない誰かでも、 そこに言葉を差し込むだけで、操作できる。 (@14) 2021/04/28(Wed) 22:52:28 |