【見】 3-A 矢川 誠壱───そっか。 んぁーちょっと様子見てくる。 飯とかも別に食うのか、とか。 [ ついでに置いてくるわ、と 彼女らの持っていた枝も預かって、 一度キャンプに戻って置けば、もう一度 森へと足を進めていく。 たぶん、こっちの方だな、と辺りをつけて ゆっくり歩いていれば、人影に立ち止まり、 そっと木陰に隠れて覗き見た。 その後ろ姿は、よく知っているものだった。 そしてその向こう側、すぐ近くにある もう一つの人影も、誰だかくらいわかる。 眉根が寄った。 気まずいな、と目を逸らして 踵を返そうと足を動かした。 近くにあった茂みがかすかに音を立てる。 気づかれないのならそのまま、 その場を後にしただろう。]* (@21) 2020/11/28(Sat) 0:44:50 |