【見】 3-A 矢川 誠壱雨宮、耳、塞いで。 [ そうお願いを落とし。] 無理だと思ったら突き飛ばして。 [ 呟くように伝えてから、 優しく彼女の唇を、頬を包んだ右手の 親指でゆっくりとなぞり。 優しく、すべきだよなと考えながら、 額に、目尻に、鼻先に、頬に、口角に キスを落としていく。 薄く開いた己の唇を重ね、下唇を食んだ。 ちゅ、とかすかにリップ音が立つ。 風で木々が揺れる音しかしない森の中で、 体調の悪い友人がすぐ近くにいて、 いったい何をやっているんだ、と 冷静に問いかける自分もいたけれど、 無視をした。 ───きっと、必要なことだと思う。 彼女の、これからに。]* (@48) 2020/11/28(Sat) 23:02:31 |