人狼物語 三日月国

258 【身内】冬融けて、春浅し


【赤】 靖国 冬莉



 ………、そうだな。


[出会った当初、寝台へと誘ったその先を些か恥ずかしくも目の前の彼に問うてしまったあの日とは違い、少しばかり知識を得ている自身だからこそ、何方≠フ示す先も、その過程も、———一応は頭にあった。
 異性ならば躊躇いも無く押し倒して、緩やかに自身のものへと染め上げて悦ばせる自信は在った。
 確かに、事前に情報を得ている。だが、無知の中で 果たして 今までのように 悦ばせることができるのか。失敗が許されない、目の前の愛しい人相手に。

 年甲斐もなく過った不安が顔に出てしまったのだろう、続く言葉に視線を持ち上げたその途端。]
(*8) teco 2024/05/01(Wed) 0:33:31