【赤】 寿ホ儀 直青>>*12>>*13 ["余韻"というものを味わう時間だけは、嫌いではなかった。 情緒とは程遠い有り様の羅生を眺め下ろして過ごす冷却時間。 ああ、羅生。 君は実によく出来た部下だ。 ] ええ、問題は一切ありません。 君のお陰ですね。 [ここで微笑むのと、表情を作らずにいるのとでは、羅生はどちらをより嫌がるだろうか。解。どちらも等しく嫌がる。──ならば構うまい。直青は存分に口角を吊り上げてみせた。 どの道同じ道を戻る。この場に留まらせる理由もなかったので、腕を取って歩き始めた。振り払いたければ羅生がそうすれば良いだけのこと。無用の配慮を直青は行わない。] 今回もありがとうございました。 そろそろ君もメンテナンスの時期ではありませんか。 羅生のタイミングで声を掛けてください。 僕は君ほどに"察し"が良くはありませんので。 [付け足しのような業務連絡を施すうち、誰に遭遇することもなく病棟へと帰着する。それでは、と居室へ向かう直青は、羅生を振り返りはしなかった。] ** (*14) 2023/11/22(Wed) 4:35:59 |