人狼物語 三日月国

258 【身内】冬融けて、春浅し


【赤】 靖国 冬莉


[此方に逃げ道を作ってくれる彼の優しさに浸りながら 、降り落ちる口付けが下っていくのが まるでマーキングされているかのようで。>>*12鼻先が首筋にすん、と吐息が擽るのを 少しばかり身を捩らせながらも 宛がわれるエナメル質の堅さが肌に馴染んでいくのを覚える。傾ければ、彼の頭に 頬に擦りつけるような 恰好になり 、水音を立てて跡を付けていく、彼から与えられる感覚が、何処か 痺れを纏ったもので。——— 見下ろされる眼差しの奥に宿る、その欲に晒されているのを覚えれば、痺れの余韻が、響くような心地。慣れない感覚の中で、意識は揺蕩い。 ]


 ………何処、ねぇ。

[値踏みするように滑らせていく眼差しに奥底からふつりと込み上げるものを逸らしながら、深く息を吐いていく。女を組み敷いていた時は、中で果てる享楽を鬱屈を紛らす代用品として扱っていたのみ、———巷で言う性感帯などとは無縁だと思っていた。彼の指先が辿っていくその先の、頂きに触れるむず痒さに目を眇めつつ。]


 擽ったい、というよりも不思議な感……、っ


[はだけた胸元へと彼の顔が埋められ、途端に 巡っていく微かな何かにつられるままに 肩へと手を伸ばして。ざらつく舌先が触れる度に 下腹部へと熱が下っていくのを覚えて ———室内を支配する静謐さに ちゅう、と吸い付く音が辺りに響く中、口元から浅く呼気が、漏れた。 ]
 
(*15) teco 2024/05/02(Thu) 1:05:29