【赤】 片連理 “椿”>>*14 [思いもよらぬ答えが返ってきた。 椿は一瞬呆けたようになって、楓の琥珀色の瞳を見つめた。頬に血が上るのがわかる。同時に、目の奥がじわりと熱を持ったように感じられた。慌てて、瞬きをして誤魔化す。] そうね、そう。 貴方となら……いえ、でも…… [自分の時間が残り少ないであろうことを思い出す。元々ひとつのたましいであった片割れがいなくなってしまったのだ。自分の命も、じきに尽きてしまうのだろう。夢から醒めて彼と再び出会えたとしても、どれだけの間生きていられるかわからない。ことによると、夢から醒めた時にはもう——。だから、そんなことに付き合わせて良いはずがない。 しかし。] ——ええ、貴方さえ良ければ、どうか一緒に。 [最後にひとつだけ、 本当に幸せな夢が見たかった。]** (*17) 2023/03/09(Thu) 22:10:47 |