【赤】 片連理 “椿”[テーブルの前に膝をついて用意をしていた椿は楓の分のカップをテーブルに置くと、また膝を抱えるように座り直した。] 冬にはよく、こうしてお茶を飲むの。 よく温まって、気持ちよく眠れるのよ。 飲み過ぎたら、怖い夢を見てしまうけれど。 [今は黒にしか見えない赤い花柄のカップを両手で包み込むように膝に乗せる。右手の袖口には、黒い染みが残っていた。椿はそっと唇をカップに当てる。傷は塞がりかけているようだった。熱いカップが傷に触れないように、少し顔を傾けて水面を吹く。] (*19) 2023/03/07(Tue) 20:37:59 |