【赤】 「怪人」 ファントム「大丈夫、怖くない。」 彼女の頭を撫でてやる。 子供に言い聞かせるように、穏やかに。 腰はゆっくりと、彼女の負担を最小限に進み続ける。 ――そうして、実に長い時間をかけて、肉樹が半ばまで埋もれた頃。 先端が、何かを破った感触がした。 生暖かい感触が肉樹を伝い落ちていく。 そっと、彼女の頭を撫でてやった。 きっと痛みを感じただろうから。 肉樹が根本まで埋まり、先端が彼女の最奥に触れる。 「大丈夫かい?」 それ以上動くことはせず、彼女の様子を伺う。 無理はしていないか、余裕はあるか、恐怖はないか。 彼女を最大限に尊重しているから。 彼女が受け入れられるようになるまで、いつまでもそうしているつもりだった。* (*22) 2022/11/29(Tue) 0:11:59 |