【赤】 鬼の子 千[鬼の行ったことは、花嫁の死を前に冷静さを失ったとしか言えないもの だがその行為は確かに、直ぐ途絶える筈だった呼吸を繋いだ。 されるがまま流し込まれている内にその音は大きくなり、やがて噎せ、吐き出す動作を挟むようになる。 しかし厭がるような素振りは無く、苦しみながら自ら喉を鳴らして取り込んでいった。 狂気的な救命が続き、外がすっかりと宵闇に閉ざされた頃 残された片目がゆっくりと開き、目前の男とよく似た彩りを晒す。] (*23) 2021/07/02(Fri) 2:32:15 |