【赤】 入院中 阿出川 瑠威[ 彼が振り向いただけでほっとして 戻ってきてくれるだけで肩の力が抜ける。 そばに腰掛けた彼の手を勝手に取って自分の頬に寄せ 撫でろと言わんばかりに擦り寄った。 目の前にいてもこれだ。 今頃母は発狂してるだろうなって簡単に想像がついた。 ] なに、ここ病院ってマジなの? 誠丞さんの強めの幻覚で俺が監禁されてるんじゃなく? ……まぁそうだったとしても別に俺は構わないけどさ。 [ 帰らなきゃってこれっぽっちも思わないのが自分で笑えて ちょっと笑い声が溢れる。 死ぬつもりで捨てたからじゃない。 なんとなくわかった。 母が俺に依存していたように、俺も母に依存していた。 今は新しい依存先ができたから、もうどうでもいいだけ。 母も俺が居なくなれば新しい何かを見つけて そしてどうでもよくなるのかな。そうなればいいのに。 だって俺はこんなにも薄情だ。 それがすこしだけ申し訳ない。 母も俺も同じように互いに依存していたけれど 同じ強さじゃないことが申し訳なくて、 だから縛られていただけなんだと今ならわかる。 ] (*24) 2022/05/25(Wed) 2:16:48 |