【赤】 吸血鬼 千[血に塗れた、死装束に似た白い着物姿に、乾いた紅がこびりついた幽鬼のような色の顔。 手首に食らい付く勢いで命を啜り上げる白髪の男。 一体どちらが鬼なのか分かったものではない光景。いや、もう既にどちらも鬼なのだ。 なり方が特殊だった故か肉は全く喰らおうとしないが、似た存在と化したことに変わりはないだろう。 理性に欠いた獣の如く果てた存在を、紅鉄坊がどう扱っても やがて肩の動きは安定し、瞳に知性の光が宿る。 いつの間にか新しい血は流れなくなり、着物の下で全ての傷が塞がっていた。] (*26) 2021/07/02(Fri) 2:33:40 |