【赤】 “観測者” 処暑[ 先代は余程、余程雪兎を気に入っていたようで、そして慕っていたらしい。 ある時、処暑域に珍しく雪が積もった。 そう、雪遊びが出来る程度に。 彼は、彼なりに興奮していたのか、私を呼んで、雪を眺めていたのだけれど。 積もった雪で彼が作ったのは雪兎。 南天の葉と実を、耳と瞳にして。 満足げにした彼は魔道具である写真機でそれを映していた。 即座に冬至の彼女へと届けられたらしい“写真”を見て彼女がどうしたのか――私は、知らないけれど。* ] (*45) 2022/01/22(Sat) 2:01:48 |