【赤】 人間に戻った レグナ「仕方ない、だろ。こんな状況なんだから、 ……っ、……ふ、」 誤魔化す様に告げるも、最早ただの強がりにしか聞こえないかもしれない。 撫ぜられればその熱もぴく、と反応するのがきっと伝わる事だろう。 頭の中がぐるぐると回る。心臓の音が酷く煩い。 今度は指を二本にして、けれどもやはりなぞる様に触れるだけ。それをゆっくり、ゆっくりと繰り返す。 視線を上げれば、汗ばみ潤んだ眼を此方に向ける、酷く劣情的なあなたの姿が映る。……自身の視線もまた、揺らいでいるのだろうかと過った。 「…………、だから、俺はいいって……」 甘言に、誘惑に。溶かされつつある理性が何とかそう紡ぎ出す。 ……無視するならば、それは自由だ。 (*52) 2024/04/07(Sun) 19:23:45 |