【赤】 灯守り 立秋処暑、おいでー。 [ある時、立秋は処暑を自分の領域へと引っ張っていった。仕事の一環だから!と。 到着した立秋の領域は昼と夜の間。外とはあまり時間が変わらない領域だが、夕方の時間がやや長い。あぜ道のようなものが整備されているが、剥き出しの土や草があって自然のままの姿に近い。その奥にそこそこ大きな小屋があるが、それは今は置いておいて。] そこ座って見てて。 [簡易的だが用意していた椅子を処暑に勧め。 立秋は処暑に背を向け、草原に立った。] ……ほら、こっちだよ。こっちおいで。 [立秋は、いつもとは違う静かな声で囁いた。 すると、その声に応じるように、何かがふわふわと集まってくる。灯りを失い、光らなくなった魂たちだ。片手に足りないほどの数。その一つを手のひらに招き、祈るように囁きかける。] (*54) 2022/01/23(Sun) 18:04:21 |