【赤】 灯守り 雨水 ― 先代のお話 ― [先代雨水は先代処暑からブドウを差し入れされた。>>*44 雨水の先代もまだ真反対の相手がどんなか、と興味をもち、相手も同じと知ればよし、じゃあまずはダチにでもなるか? なんてフランクに接していたそうだ。 交流が深い彼の領域には何度も遊びにいったし 農作物について互いに意見を交わしあう事もあった。 仲が良かった。 良かったからこそ……殺されたという話や訃報は信じられないものだった。>>1:*25] 「バカヤロウ」 [墓前にそう告げて、一人泣いた先代雨水の姿を見た事がある人がいたかどうか。 いたとしたら彼はこう言っただろう。 「局地的に通り雨が降っただけだ」なんて。 貰ったブドウで作ったワインを添える。あっちでゆっくりのんでくれ、と呟きながら。 やっと自慢できる味に仕上げてやったのに。 そんな独り言は風に流れた。] (*61) 2022/01/22(Sat) 9:08:20 |