【赤】 “観測者” 処暑―― とある風が知る記憶 ―― 「 おや、冬至さん こんにちは。こちらに来られるなんて珍しい……おや お久しぶりです、おつるさんまで。 そして、そちらは…… 」 [ 冬至の彼女が蛍を連れて処暑の領域を訪ねると、田園風景にひとり立つ彼を見つけられただろう。>>2:*97 先代処暑の頃の領域は、夕景の時間が大変長かった。 空色が薄くなり、徐々に紅み掛かり、橙に焼け、紫へと変わる。 それをゆっくりと繰り返していた。 それから今と違うのは、田畑の割合。 先代の頃は、一面の金色ではなく、畑の割合もそれなりで、様々な作物が実っていた。 更に先々代から見ると、田の割合が増えているのが分かるだろうけれど、それはさておき。 その焼ける空を眺めていたところ、端末ではない本体の彼女の一行と顔を合わせたのだった。 ] (*93) 2022/01/24(Mon) 20:52:02 |