【赤】 灯守り 小満[先代雨水村雨には、まあ世話になった。 可能なら死に目には立ち会いたいと思うほどには。 それが叶わない灯守りも多いのだ、まったく。 私が灯守りとして小満の号をいただいた頃には、もう何度か会合にも連れてこられ、顔は知っていた相手。 座を辞する前の先代小満とも気が合ったようで、よくしてもらったとも思う。 だからこそ。 だからこそ、少しばかり甘えていたのか。 気ままな牧童の心のまま灯守りになった元天使は、好奇心、興味本位でふらふらと動くことが多かったので、今と変わらず何かがあると顔を出したり、中央の職員の頭を悩ませたりと自由奔放だった。 にも関わらず、雨水の灯守りがやってくるとふいとどこかへ逃げてしまう。まるで自分の興味はそこにひとつもなかったかのように、ふわりと。 もしも捕まることがあったなら、不機嫌隠さずに黙りこくってしまうだなんてのもしばしば。] (*108) 2022/01/22(Sat) 21:23:55 |