【赤】 美雲居 月子[ 挑発するようなその言葉も。 指先に這わされた舌も。 嫌いなわけではない。 むしろ楽しくて、好ましい。 提案はにっこりと笑って了承をする。 押し倒した彼は焦る様子もなく。 楽しげにこちらを見上げるものだから、 好き勝手させていただこう、と 合図があれば、なんの断りもなしに その耳に唇を寄せた。] ───仔猫の皮をかぶった 獣かもしれんよ? [ そういって。「がるるる」とわざと 小さく唸って見せ、その鎖骨に噛みつく。 噛み付いた跡は舐めて、強く吸えば、 赤く花が咲くだろうか。 彼が嫌がらないならもう一つ、咲かせて。 その二つの上に口づけを落とした。] (*373) 2020/08/13(Thu) 23:04:22 |