人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

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視点:


【人】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ

>>182 テオドロ

どうだろうね。言葉にする前に吐息に消えて、何をはぐらかしたのだかもわからない。
花は幾重にも姿を見せど、実を収穫するために大切にされる花は冬を控えたひとつ限り。
貴方の趣味を思えば承知のことかもしれない。

「なら、よかった。自分の腕の中以外も自費で賄っているのかと思ったよ。
 君の彩が振りまかれるのが、そこまでもボランティアだとほら、ね。
 上役の人間としては気にせざるをえないところだから」

橋の上を渡って賑々しいほうまでいけば、未だ人々の営みが照る。
自分たちが仕事を終えても動く街を見つめる目は、茫洋と遠くを眺めるような、
己とは別の世界を見ているかのような隔てのあるものだ。

「それにしても、思いつきか。
 君はいつもこんなふうに備られえる側の人間と思っているけど、
 どうだろう、思いつきで行動することもあるのかな?」

#街中
(21) redhaguki 2023/09/11(Mon) 23:06:48

【秘】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ → 黒眼鏡

「別にいつでも詭弁を口にするわけじゃあないさ」

長い脚を折り曲げて言われた通りにソファに座る。
手持ち無沙汰げに上げた目が散らかった部屋を見回して、そのひとつひとつを眺めた。
小言じみた声を聞き流しながら、明け渡されずに残された物を見つめている。

机なりがあるなら、その上にビニエを置く。紙袋から取り出すまではしない。
ご丁寧にふたつきりのそれを、どう扱うかは持ち込んだ先が決めるべきということ。
座った席の肘掛けに頬杖をついて、注文の為に口を開く、その合間に視線が戻ってくる。

「言っただろう。最後になるかもしれないから、って」

スカイブルーの瞳は色付きレンズの向こうをじっと見つめる。
冗談にしては、視線は外れないまま瞬きも少ない。

#Mazzetto
(-29) redhaguki 2023/09/12(Tue) 1:27:19

【秘】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ → 花浅葱 エルヴィーノ

「ああ」

礼節を欠かさないその声に、顔を上げて応える。
その前から目線の動きは貴方を、貴方の目元の翳りを追っていたようだが。
鷹揚としてしっかりと構えた様子と反する表れが、気にならないわけではない。

「最近はまた忙しいのかい。上の動きがあるからこちらまで波及している節は有るが。
 どうだろう、君から見た限りの感想でいいのだけれど」

声を掛けられ貴方の足が止まっているのを幸いと、己から声を掛ける。
内容はさして面白みがあるわけでもない、他愛のないものだ。
(-33) redhaguki 2023/09/12(Tue) 7:04:38

【人】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ

>>7 ロメオ

朝ぼらけの頃よりはもう少しあと、世間が動き始めて足音のする頃。
陽気な街であっても勤め人ならば会社へと向かってデスクの前に着き、
多くの店もシャッターを上げて朝の空気を取り入れるくらいの時間だ。
急ぎ足の客の波に逆らって、長駆は悠揚に店先へと足を踏み入れる。

「ご苦労さま。今日のおすすめは何かな」

店番らしき青年へ声と笑顔を投げかけて、男は店の中を見て回る。
影のように大きな黒犬めいて、動きはゆっくりと並べられたパンの前を順繰りに、
ひとつひとつに挨拶するみたいに小麦の香りを覗き込んでいた。
その足元を、母親の背を追う子供が公園の遊具みたいにするりと抜けて店から出ていった。

#パン屋
(31) redhaguki 2023/09/12(Tue) 7:18:21

【秘】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ → 黒眼鏡

「燕が運ぶ黄金の元はここから剥いできているのか??」

言葉は暗に蔵の中身を空けたかのような部屋の様子を指していた。
いずれは此等も人々の手の中に明け渡されてしまうのか、
それとも難を逃れたものたちがここに残されているのか。

黒く帳の降ろされて色の見えない瞳を、見えているとでもいうように見つめる。
その癖見透かしているというには目元の険は鋭くはなく、望遠鏡を覗き込むようで。
しばらく見つめ続けたあとに、ふ、と満足げに笑って視線は外された。
何を悟って何に納得したか、なんて口にされることもない。

「お前のほうこそ景気はどうなんだ。市井が荒れると、書き入れ時だろう。
 それとも一丁前に店一本に絞れるくらいにはそろそろ腕も上がった頃か?」

貴方を見つめていた時には蝋のように動かなかった指は、すいとコーヒーカップの方を取った。
手間の少しも掛けられていないインスタントであるのを目の前にして知っているのに、
わざわざ一口啜って、皮肉っぽく片眉をあげた。

#Mazzetto
(-35) redhaguki 2023/09/12(Tue) 7:43:38

【秘】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ → 黒眼鏡

曖昧な回答に対するのは、ああ、なんて対象も不明な相槌ばかり。
一度外した視線は自由に動きはじめて、外とは隔意の有る空間を眺める。
漠然と眺めるというよりかは、遠い昔の面影を探すようにゆらゆらと表面を動いた。

「客入りがあるのだったら市民の一員らしく歓迎するところだけれど。
 ……自動車工の素振りにしばらくは絞ったらいい。
 どうせそんなに長くは保たないさ。緊縮の似合う島じゃない」

軽々に言って、カップを持ち上げる。大して手間の掛かっていない味わいを口に含む。
黒い手袋を外せば肉の削げた指が垣間見えて、ビニエの表面に食い込んだ。
もったりとしたバニラクリームを引き立てるように、オーソドックスなアーモンドの生地が挟み込む。
見た目の甘ったるさに比べて存外軽い焼き菓子をゆっくり味わう。
この島に、街にありふれた光景だ。

「"港"を封鎖できるほどの力があるわけでもない。
 ……そんなこと出来たらとっくにお前たちのことなんて追い出せているよ」

#Mazzetto
(-106) redhaguki 2023/09/13(Wed) 6:52:17

【人】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ

>>36 テオドロ 0日目

「小言めいてしまってすまないね。上に立つとどうしても揚げ足取りが得意になる。
 切り分けができない人だとは思わないが、必要に迫られた時に君は自分の身を切る方を選んでしまいそうな気がしてね。思い違いだったなら申し訳ないけど」

言葉が重すぎてしまわないように、少し茶目を含んだ笑いを添える。
厚意など軽薄に感じられるくらいがちょうどいい。
ずうっと年の離れた若者を見る目は、年嵩から比べれば傾斜の掛かって水平ではないもの、
多少の取り違えがあって然るべきくらいの認識だ。

「ははは、いいんじゃないかな?
 私だって私生活でまで気を張っているばかりじゃあないし、
 四角四面に肩肘張った警官に胸襟開ける市民も多くはないだろう。
 彼らが見ているのは制服だ、まあ……君のような活動をしていると顔も覚えられるだろうけど。
 警帽をかぶれば顔も違って見える。警察が"これ"でも、構わないだろうさ」

曲りなりにスーツを来て歩く姿は、洒落者としてスーツを扱うこの辺りの風土では珍しくないもの。
尤も市場まで紛れてしまえば目立たないといえば嘘にはなるものの。

「それとも。君のなりたい警察の理想とは違った?」

#街中
(95) redhaguki 2023/09/13(Wed) 8:05:59

【秘】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ → 花浅葱 エルヴィーノ

「彼は……そうだね。気疲れの多いことを引き受けているようにも見えるよ。
 自分なりの息抜きは見つけているようにも思えるが、そうだな。
 それこそ君が息抜きに付き合ってあげるといい、私みたいな目上がそうするよりかはいいだろう」

強制力のない気軽な、言ってしまえば無責任な提案だ。
渦中の彼を話題に出すくらいなのだから、既に実践されているかも知れない程度のこと。
他部署なりへ出張した署員の持ってきた焼き菓子をふたつ、貴方へと差し出す。
貴方にアレルギーがあるなら……まあそうしたものをクリアできる食品ではあるだろう。

「降ってくるのは思いつきか既に決まってしまったあとのことか、雑用くらいだ。
 今回だって上で何かしらやっている靄が形になってからやっと聞かされることになるんだろうな」

机の上の資料や書類は決して少なくない。こつこつと消費してやっとこの程度だ。
出入りの多い署員と比べて腰を据えていることの多い男は、署内の雑用を引き受けることさえあった。
威容を重視される警察として求められる姿勢として正しいかは、一概に評価できることではない。
少なくとも男は話しかけやすいよう心がけ、忙しい姿をこれ見よがしにはしない、そういう人間だ。

「気苦労を掛けるね、エル」
(-113) redhaguki 2023/09/13(Wed) 8:28:06

【人】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ

>>78 ロメオ

視線が寄せられたなら、男は人好きのしそうな笑みで返した。慣れた仕草だ。
同じように見上げられることは貴方も多いだろうし、きっと覚えのある対処だろう。
そうした馴染みの有るふれあいは当然、特異と見做されることもない。

「ありがとう。熱心だね」

おすすめを添えられたならば気軽な一言と共に礼を返した。
ゆっくり、ほかも見て回りながらに店の中を楽しんで、ようやくカウンターの前まで来た。
だいぶんゆるくなった人の流れに沿って選んだのはシンプルなアーモンド・コルネート、
それにピッツァ・ビアンカと、焼き上がって適温になった品があるならパネットーネも。

#パン屋
(96) redhaguki 2023/09/13(Wed) 8:50:06

【秘】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ → 黒眼鏡

眦は細く、無機質なガラスやプラスチックの表面を見つめた。
集合体の意図するところを理解したなら、それで視線は逸れてしまう。
聞いたふうな口を利き、悟ったような目をして、見知った街路を歩く足がある。

訪れたことも多くはない部屋を一個一個理解したように頭の中に入れてしまって、
もう分かったとばかりに帰った視線はアーモンドのまぶされた生地の行き先を見ている。
スカイブルーの目は澄んだ空のような色ほどには冴え渡ってさえもなく、
曇天めいて淀んだ色が閉じ込められているだけであるのを、分かっている者は少ない。
春霞の向こう側にぼやけた焦点は今は貴方の所作だけを追っていた。

「ああ、あの子か。まだ若いだろう、あまり焚き付けないでやってくれ。
 彼の熱心さが彼の足元をおろそかにさせるようにはしてやりたくないんでね」

ふ、と表情が緩む。庭の花でも見るような穏やかな皺が目元に寄った。
己の手の届く範囲にあるかれらに対するときの男は、一層ありふれた老成を現す。
老いさらばえていくもののように緩めた表情が、どれほど実を伴っているものか。

「どうも」

笑う表情は変わらない。
『いい警官』になってから、余裕のあるかのような表情が鈍ることは少なくなった。
他愛なく進む会話が時計の針を押すごとに、いつしか皿もカップも底がまあるく顔を出している。

「為るように為るものだよ」

#Mazzetto
(-224) redhaguki 2023/09/14(Thu) 2:58:42

【秘】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ → マスター エリカ

霧の中を歩むような、ぼやけた足音がした。
男の夢が情報屋を訪れているのか、情報屋が男の夢を訪れているのか。
それさえ判然としないほど夢は千々に千切れて曖昧模糊なものだった。
例えば夢が記憶の整理のためにあるのが本来であるのならば、
整理するための自己が端切れのようになってしまっていたなら、こんなふうになるのだろうか。

雑多に重さの違う砂粒の混ざり込んだようなマーブルの中から気泡が浮かぶ。
ほうとため息をついたような空隙の中に、不安と懸念がぼんやりと形をなして、
そうとも知れぬような不確かな問いを、手の届くかもわからないまぼろしに投げかけた。

/*
更新直前にすみません。
『情報屋ロッシ』への依頼になります。
内訳としては以下になります。

情報請求先:黒眼鏡
求める情報:カポになって以来他者に物を与える癖が悪化するようになった、
その変化を及ぼされることになった出来事や心境の変化の具体的な理由

あとなんか相手のPLが覚えのある感触してる気がするから、
せっかくだし回数一消費してこれから毎日パンツの色聞こうかな。
(-225) redhaguki 2023/09/14(Thu) 3:19:53

【秘】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ → 花浅葱 エルヴィーノ

「人を頼るのが苦手、というほどでもないかもしれないけれど。
 周囲を巻き込むということをもっと覚えたほうがいいかも知れない、とは思うね」

同じ年の頃から一歩抜きん出た彼の活躍の秘訣は、己を差し出すようなものだろう。
おそらくは真正面にも忠言したことのあるだろう程度の小言が増える。

「同僚の働き方に気を揉むのは、気苦労というわけではない?
 ……いや、そんなつもりもないのか、そうか。だったら、君の言う通りかもな」

傍から見た捉え方と、自己での認識に違えが有るのは当然だ。
或いは本当に、話題に挙げて見るくらいで言葉ほど気にしたわけではないのかも知れないが。
実際の触れ合いを遠巻きに見るばかりの年嵩からすると、貴方の様子はそう見えるのだろう。
ただ、中年から見るほどには心配もいらないというのなら、
机の上で組まれていた指は自然と書類の方へと戻る。
(-241) redhaguki 2023/09/14(Thu) 7:47:57

【人】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ

>>102 テオドロ 0日目

「時には人にコストを支払わせるというのも、もっと気軽な手段としてしまえるといいんだろうけどね。
 理屈としてはわかっているんだろう、きっと。手としては候補に上がらないかもしれないけど」

言われずともということではあるだろうけど。肩をすくめる。
迷惑をかけることに慣れろ、と言ってすぐに馴染めるものではないとわかっているからこその、
こうした遠回りの物言いだというのも優秀な人間には悟られてしまうものだろう。

続く話題には、もう少しばかり確かな頷きがあった。
市民に安心を与えるのは盤石たる制服姿の正々堂々とした立ち振る舞いだろうし、
同じ警官たちの士気を高めるのもまた肩を並べる自分たちの姿だ。
それを意識することの大切さは皆、制服を着るまでの道のりで厭になるほど叩き込まれる。
ただ。

「周りが優しいから、そうして気にかけられるのだというばかりでもないだろう。
 君を頼りにしているからにこそ支えさせてほしいというのは、彼らからの寄りかかりだ。
 周りに立つ人間に甘えさせてやるというのは、そういうやり方もあるのだと、
 私も年を経るにつれて目上に教えられたものだったよ」

ね、と。デスクを挟んで話す時よりはきっと多少柔らかいだろう態度を指して言う。
そうしているうちに革靴の足跡は商店の並ぶ方へと近づいていく。

#街中
(141) redhaguki 2023/09/14(Thu) 8:19:28

【人】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ

>>99 ロメオ

市場に面した店ならいざ知らず、焼きたてのパンの品質はガラスで秋の空気とは区切られている。
同じ消耗品を売り捌く店でありながら、自然声をあげてアピールしなければいけない種とは異なる。
静かな店の中にある姿は合ってはいる……それを熱心と呼ぶかは、まあ、人に依るか。

「私かい? ああ……職場の子達が話題にあげていたかもしれないな。
 実際のところ外回りの途中に、どこかで聞いた気がして気になって覗いてみた次第でね。
 普段の刷り込みというのもばかにはならないね」

尋ねられれば頭の中を探る。いつのことだっただろうか。
何かしらねらいがあったわけでもなく初めての来店であるのは確かなようだ。
ここで顔を覚えたことがあとでどんなふうに響くか、なんてのはお互いでさえわからないことだ。

「……にしても訪れる客のことまで覚えているんだね、店員さん?」

#パン屋
(142) redhaguki 2023/09/14(Thu) 8:31:02

【秘】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ → マスター エリカ

小さく泡が昇っていく。ああ、と腑に落ちたかのような動きだった。。
それを意外とも思わず、大きく衝撃を受けるわけでもなく。
ただ、漠然とその傷がよい形で残るよう祈るように、水面からさす光は淡くひらめいた。
夢から覚めた時には、情報屋のかたちばかりが想起されて、自分が何かであるかは不明瞭のまま。
秋の朝のことだった。

/*
ご対応いただきありがとうございます、承知いたしました!
いい感じに使っていきます。何かを。
(-247) redhaguki 2023/09/14(Thu) 8:53:45

【秘】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ → 花浅葱 エルヴィーノ

「内心に思うことは誰でもあっても、口にするかどうかは別のことだろう。
 他に共感したり伝達しないつもりのことを口にする人は、そういない。
 君にとって当然のことは意外と世ではそうでもなかったりするものだろう」

それを当たり前とするならば。
その先を強いれば、今の時代だとそれもハラスメントに当たるのかもしれない。
年寄りの冷や水もそこそこに、といったところで投げかけられた問いに顔を上げる。
漠然と頭の中を探る思考は、さしたるものは掴まなかったらしい。

「心当たりは……ないわけではないけれど、あまり慣れ親しんだものではないかな。
 君の知り合いかな、最近の調書に出てきた名前ではなかったね」

署内にもおそらくはない名前だろう。
或いは同名の人間があるかもしれないが、すぐに結びつくような位置にあるわけでもない。
何気ない話の延長として、あなたの言葉が続くのを待っている。
(-274) redhaguki 2023/09/14(Thu) 19:58:50

【秘】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ → 黒眼鏡

「痛い目に合わないように支える人間は幾らもいるだろうよ。
 まあ、けれど。出来るだけの教育くらいはしておくとも。
 知らないおじさんが心配していたよって伝えておいてやろう」

からかうような言葉が苦言を受け流す。少しも真艫に捉えていないようだった。
そうでなかったとしても、仮に、そうだとしても。
犯罪組織の渦中にてその重責を担う貴方の見えないところで行われることだ。
周りの労苦や心配が実を結ぶときが来たとしたって、きっとずっと先のことだろう。

水を向けられた、如雨露の首を返すように視線は流される。
既に短いやり取りで、多くに納得をして、多くに満足した。
そこから先を、この部屋においていく必要はお互いに無い、そうだろう。

「何も。お前の顔を拝みに来ただけだ。珈琲の腕前もお目にかかれたようだしな」

皮肉っぽい言い回しとともに、長い指と素爪がカップをつついた。
ほんの少し小麦の粉がついた指を軽く払うと、手はそのまま机について立ち上がるのを助く。
用事はそれで済んでしまった。
部屋をいっそう狭く見せるような長駆が伸びて、入ってきたばかりの扉の方をつま先が向く。
帰りの見送りは、さて。『いい警察』を厭うなら、必要かもしれないけれど。

#Mazzetto
(-282) redhaguki 2023/09/14(Thu) 20:49:46