人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:

全て表示


【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 渡りに船 ロメオ

ぶつかった視線、先にある翠。
鏡で見た自分のそれとよく似ている気がしたのは。

「────」

願いを聞いたからこその思い込み、だろうか。
撫でてくれる手つきはとてもやさしいもので。
ねえさんやにいさんと呼び慕うその人たちとも、違うもので。
呆けた表情を浮かべながらもそうされている内。
掻き消えそうな小さな言葉を拾い上げた瞬間。

…………なんで、泣きたくなったんだろ。


ついと視線が落ちかけてしまう前に、口を開く。

「────"フレッド"」

逸らされた話題に乗りかかることもなく。

[1/3]
(-3) mspn 2023/09/20(Wed) 21:15:37

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 渡りに船 ロメオ


「フレッドって、……呼んで」

貴方が遠ざけようとしたものを近づけるみたいに。

「…………オレの、ほんとの名前」

唐突に告げた。
今の名を渡されてから、昔を知らない誰かに教えたこともないし、伝えるべきでもない真実を……それでもだ。

『弟にして』、なんて。
そのまま伝えたところで、受け取ってもらえるかわからなかったから。

瞼を落として、頭を傾ける。
貴方の肩口に額を押し付ければ、よく似た金糸が揺れた。

[2/3]
(-5) mspn 2023/09/20(Wed) 21:17:03

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 渡りに船 ロメオ



「教えたの…………とくべつ、だよ」



なんでもをしてほしいから、望んだんじゃなくて。
だいすきなあなたが、そんな笑い方をしなくていいように。


[3/3]
(-6) mspn 2023/09/20(Wed) 21:17:26

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 幕の中で イレネオ


……ああ、そうなんだ、やっぱり。


"警察"が二人も肯定の意を示すのだ。
嘘であるはずがない、だから間違いがない。
視線は落ちていく、己の両手にずっとある手錠へ。
その内に……唇はゆっくりと開かれる。

「……フルーツを」
「たくさん、貰いました」


誰から貰ったかは明言しないまま。
なんだかもう随分と遠くなったその日を、思い出す。

「だから……彼にも、お裾分け、しました」
「……作ったお菓子も、うまくできたから、渡しました」


そうして、瞼を伏せる。
例えどのような場であれ。
貴方の前であったとして。
それを偽ることだけは、できなかったから。

「…………
家族
みたいな、ひとだから……」
(-9) mspn 2023/09/20(Wed) 21:44:30

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 路地の花 フィオレ

貴方からの会いたいの気持ちを聞けば、じゃあいっか〜なんて機嫌よく笑っていて。
カッサータと聞けばしばらくぽくぽく……と考える。
けれどその内に思い当たる者があれば「あ!」と声を上げて。

「オレもおいしくてあれ好き!
 ねえさんあのお菓子好きなの?」

「作るのはむずかしそ……、……」


「……いや、でもぜって〜作る!
 大丈夫!この世で一番おいしいの作るから、そのうち!
 待ってて!」

貴方の期待を感じ取れば、できないとは口にしなかったししたくなかった。
男はぐっと拳を握って決意を滲ませている。
で、その後に続く"兄"の話には、そうなんだな〜って笑いながら。
やっぱり少し寂しさは感じたけれど、二人が明るい世界にいることが嬉しかったから遠くに置いた。
そうして手放しに寄せられた信頼を感じ取れば、もちろん笑顔で。

[1/2]
(-11) mspn 2023/09/20(Wed) 22:01:26

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 路地の花 フィオレ


「──任せて!」


「ねえさんが逮捕されそうになったときには、
 いちばんにオレが助けるよ!」

この世の掃き溜めの隅。
蹲って時に貴方に縋り震えていた存在は、もう弱くなどはないから。
法の下で貴方を守る力はにいさんよりきっと強いなんて信じて、言葉を躊躇いなく形にする。

信じていたんだ。
何も知らなかった。
あの夜までは。


「……よしっ、じゃあそろそろ行こうかな。
 夜とか戸締りには気を付けてね? ねえさん」

[2/2]
(-12) mspn 2023/09/20(Wed) 22:04:12

【秘】 幕の中で イレネオ → 暗雲の陰に ニーノ

────さて。
貴方の口から飛び出したのは肯定・・だった。
それは男の言葉に対する否定裏切りでもあった。

「……つまり」

男の声が一段、低くなる。

繋がっているんだな?・・・・・・・・・・


かたん。
眼鏡を外す音だった。
(-36) rik_kr 2023/09/20(Wed) 23:01:00

【秘】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ → 暗雲の陰に ニーノ

「私だって、優先すべきものの順番くらいはわかっているつもりだよ。
 部下が、君がこうして悩んでいるのをさておいてするような仕事はないさ。
 ……まあちょっと帰りは遅くはなるだろうけどね」

素直な貴方は、ちょっとしたお茶目をそのまま受け取ってしまうかも知れないけど。
それでも空気を緩めるために、そんな軽率に過ぎる軽口が添えられる。
すっかり大人になってしまってはいても、大柄な男からすれば貴方は小柄で、
守るべき子供を見るように、柔らかな視線が投げかけられる。

「少しくらいは咎められないさ。何も職務怠慢を私相手に挙げられるものもあるまい。
 ……市井の見回りも勤めだ。私も外回りの頃は賢くサボる方法を見極めていたよ。
 久々に料理でも作ってあげられたならもっとよかったんだろうけれどね」

仕事の残りは少しの間だけ見ないふり。
コートを取りに行く時間も惜しいと廊下をそのまま外向きに下って、
二人連れ立って外へと出ていくのだろう。道中、店によっていって。
行き先も、話す場所も。貴方が落ち着ける場所ならば男はついていく。
肝心なことを話す用意も、もちろんしっかり携えた上で、だ。
(-46) redhaguki 2023/09/20(Wed) 23:22:31

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 法の下に イレネオ

繋がっている、というのが正しいのか分からない。
家族同然に想い、マフィアとしての活動は何も知らなかったから。

──でも、それより。

「立場は、知らなかった、けど……」


ひくい、おとこのひとのこえ。


「……いれねお、せんぱい?」

様子が変わったことに気が付けないほど、鈍くはない。
男は緩慢な動きで貴方を見上げた。
無意識に、喉奥がふるえる。
(-48) mspn 2023/09/20(Wed) 23:23:54

【秘】 渡りに船 ロメオ → 暗雲の陰に ニーノ

「え」

微かな動揺。聞き慣れない名前。
翠の色はそれで揺らいで、空のグラスを静かに置いた。

少しばかりの訝しさを以て細められた目は、
続く言葉を聞いて幾ばくか瞼を持ち上げる。

「ほんとの、」

朝の日向の色が揺れれば、照明がそれを透かした。
癖のない貴方の髪。
癖ばかりで跳ねる自分の髪とわずかに重なる。

(-63) susuya 2023/09/21(Thu) 0:03:54

【秘】 渡りに船 ロメオ → 暗雲の陰に ニーノ

「──フレッド」


名を紡ぐ。
貴方の本当の名前を口に出す。
大事に。

そっと手に包むように。



「フレッド」


そっと抱いて抱えるように。



握られた手を一度放した。
それから、自分が貴方の手を握った。



知らないうちに空いていた、心の穴のピースがそこにあった様な気がして。


(-65) susuya 2023/09/21(Thu) 0:06:20

【秘】 渡りに船 ロメオ → 暗雲の陰に ニーノ



「オレでいいの?」
「オレで……」



無意識に漏れた問いの答えを、
貴方の口から聞かずとも知っている。
けれどこの自意識が、こんな。

ひとらしい、だいじなものを持つ事を拒んでいるから。
貴方の言葉で杭を打ってほしかった。
(-66) susuya 2023/09/21(Thu) 0:07:32

【秘】 幕の中で イレネオ → 暗雲の陰に ニーノ

『家族のように想っていた』、と。
重ねて貴方が口にしていれば、男の表情はもっとわかりやすく歪んでいたはず。
しかしそうではなかったから、単に抜け落ちただけだった。
冷えた表情の中に金の瞳が嵌っている。
レンズを隔てないそれだけが、熱を持って貴方を見ている。

「立場は知らなかった?」
「本当か?」

たん。
たん。たん。たん。

指がテーブルを叩く。

「それだけ近くにいて?」


叩く。
(-68) rik_kr 2023/09/21(Thu) 0:13:45

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ

素直なので想定通りそのままに受け取って、ハッ……とした表情は浮かべたりしていたのだが。
けれどすぐにこの雰囲気を和らげるためだと思い当れない程、鈍くもない。
幼いときから変わらない温もりを抱いた視線を受け止めれば、うれしさで瞳を細めていく。
大人になってからより遠くに居るとわかった存在の、優先すべきの中に己が居る事実がこんなにも幸せで。

「……ありがとうございます。
 へへ、ヴィトーさんがサボるって想像できない。
 でもそうなんだ……意外だし、親近感、です!」

「料理は〜……いろいろ、落ち着いたら。
 また作って欲しいって甘えちゃうかも」

そんな風にいつもの調子を少し取り戻した男は、貴方と共に外へと歩いて行く。
道中に寄ったのは仲の良い人がよく働いているパン屋で、そこで自分の分にはパンドーロを一つ買って行った。

[1/2]
(-143) mspn 2023/09/21(Thu) 8:42:44

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ

そうしてじきに腰を落ち着けたのは夕暮れ時で人も少なくなってきた公園。
養育院に居た頃、貴方に連れ出して遊んでもらったこともある場所。
ベンチで隣同士に並んで腰かければ、買って来たパンを片手に少し色褪せた遊具を眺めた。
昔はアレも大きく見えたっけ、とは頭の隅のもので。

「……今日決まった法について。
 喜んでる人もいれば、あんまりだって言う人も居て」

ぽつ、と。
なぜ貴方に問いかけたのか、署の中で伝えられなかった言葉を零していく。

「反社会組織……マフィアに対して。
 いろんな人が、いろんな感情を抱いてるのは知ってる。
 オレの今の家族も、マフィアのことがとても……きらいです」

「でもオレはそういう事情とかを知っていても。
 今回の法案には前向きな気持ちを抱けなくて。
 ……でも賛成するひとがいるのもわかる、から」

「……どっちつかずな感じで、ぐるぐる悩んでたんですけど。
 あの、ニコロせんぱいがね、いろんな人に話を聞いてみたらいいって。
 それでヴィトーさんの話が……聞きたかった」

そこまでを語り切ればちらと貴方を見上げる。
こういうのを聞いて、どんな顔してるかなあ、と。

[2/2]
(-144) mspn 2023/09/21(Thu) 8:43:26

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 法の下に イレネオ

テーブルを叩く音が耳に付き。
常より早い鼓動が更にどくんとうるさい。
そうして、たった一言が容易く心を抉った。

   "それだけ近くにいて"

知らなかった。
知らなかったから、こうなった?


「オレにとって、にいさんは」

「……ドライブが、好きで。
 贈り物ばっか、してきて。
 珈琲入れるのが、上手な。
 …………ただの喫茶店の、マスターで」

ああ、でも、ちがうな。

ゆるりと落ちゆく視線。

「知らなかった、…………でも」

「──知っていても、
おなじだった
(-145) mspn 2023/09/21(Thu) 8:54:23

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 渡りに船 ロメオ


ほんとうを呼んでくれる。
とても、やさしい声音だった。

呼ばれる度に、剥がれてゆく。

やっぱり泣きそうだった。
こんなにも貴方は"大事"をできるのに。

生涯、隠そうとしたこと。

手が離れるのが嫌で。
追おうとした、指先を。
よく似た体温が繫ぎ止めてくれる。

だから。

そうして落ちた問いがあんまりにも。

……ああ、"いじらしい"って、こういうことをいうのかな。

[1/2]
(-150) mspn 2023/09/21(Thu) 9:41:20
ニーノは、ゆっくりと顔を上げれば。
(c6) mspn 2023/09/21(Thu) 9:41:31

ニーノは、微笑んで、告げた。
(c7) mspn 2023/09/21(Thu) 9:41:37

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 渡りに船 ロメオ



「───あなたじゃなきゃ、やだ」

 
遠ざけないで。


「…………ロメオにい」


 
どうか、傍に置いて。



──ぬくもりを知る場所で、生きていて。


[2/2]
(-152) mspn 2023/09/21(Thu) 9:42:25
ニーノは、あなたの『  』になりたかった。
(c8) mspn 2023/09/21(Thu) 9:42:54

【秘】 路地の花 フィオレ → 暗雲の陰に ニーノ

「フレッド」

牢越しのあなたに、声を掛ける。
赤縁のメガネに緩く結んだ髪は、いつもと印象が違って見えるだろうか。
悪意のない逮捕だとは聞いていたから、何事もなければいい。そんな気持ちを抱きなからここに来ていた。
(-160) otomizu 2023/09/21(Thu) 10:52:52

【秘】 渡りに船 ロメオ → 暗雲の陰に ニーノ

「…………」

ゴト、とカウンターを伝うのは外した眼鏡を置く音。
遮る分厚いレンズは無くなって、
そのままの翠を貴方に向けた。

与えられた光だけを表面で返して、
その奥にはずっと奥まで深い洞があるような。
森の谷底のような、南の深海のような瞳。

「オレはお前が思ってるより善人じゃない」
「酷いものだよ。非道いもの……」
「……きれいじゃないんだ」

「……大丈夫かな」
「お前はきれいだから」


負い目がある。



「それだけが心配だよ」
「──ハハ」


(-162) susuya 2023/09/21(Thu) 11:02:17

【秘】 セントエルモ ロメオ → 暗雲の陰に ニーノ


ひとのかたちは喜んでいる。憂いている。
慈しんでいる。心の裏側が焼け焦げるような思いがした。

けれど、善い。
言葉は貰えた。

杭は打たれた。



「弟ができたな」
「フレッド。おいで」


繋いだ手を、グイと引っ張って。
バランスを崩して傾いた椅子の勢いで、
貴方を抱きしめようと思った。


吐き気がするほど、貴方家族を随分、大事に思ったから。
(-165) susuya 2023/09/21(Thu) 11:08:37

【秘】 幕の中で イレネオ → 暗雲の陰に ニーノ

よく解ったよ・・・・・・。」


たん。
音は止んだ。
代わりに走るのはペンの音。
続行。マフィアと関わりあり。情報提供等内通行為について自白を要する。

さて。
この瞬間貴方は男にとっての悪になった。
貴方がどう否定しようと関係ない。正義とは往々にして身勝手なものだ。
ひやりとした瞳が貴方を見やっている。厳しい瞳。貴方も知っているはずの、男が唾棄すべき悪人を見る時の瞳。

「そうやって騙していたんだな?」
ノッテマフィアに頭まで浸かって。」
「それをおくびにも出さず。」
警察俺たちを騙していた。そうなんだな?」

ペンを手に持ったまま。
問いかける。
わけではない。これは決めつけだ。
(-170) rik_kr 2023/09/21(Thu) 11:29:57

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 幕の中で イレネオ

言わなければよかった、と。

暖かさを失くし見つめる瞳に思えばよかっただろうか。
熱に浮かされた思考が、判断を間違えたのだと。
でもそうじゃなかった。
例えいつだったとしても、己はそう口にしていた。

ゆえに貴方の優しさが消えゆくのは──当然の帰結。
……だとして。

「──ッ……ち、がい、ます……!」


それだけは否定した。力強く。

「騙してなんかない、オレは!
 あなたたちを、騙してはいない……!」

腹の奥底が震えた。
こわい、おそろしい、でも。

否定しなくてはいけない。
揺らめいていた瞳が初めて強く、意志を持って貴方を見つめた。
(-176) mspn 2023/09/21(Thu) 11:48:41

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 路地の花 フィオレ

/*
お声がけありがとうございます、ねえさん来てくれて嬉しい…!
ただ申し訳ありません。状況について今不確定なところがありますゆえ、もう少し確定次第のお返事になりそうです……お時間いただきます……
(-177) mspn 2023/09/21(Thu) 11:49:29

【秘】 幕の中で イレネオ → 暗雲の陰に ニーノ

「信用出来ると思うか?」

この問いばかりはきっと真っ当。
貴方も考えて見ればいい。身内と思って大切にしていた人間が、自分が最も嫌悪する人間と​────組織と懇ろにしていた時、人はどう感じるだろう。
裏切られた、と。
咄嗟に過ぎることは、想像に難くないはずで。

「いくら真面目な顔をしていても」
「いくら懸命に仕事をしていても」
「その裏であいつらと仲良くしていたんだろう?」

その顔を知ってるよ・・・・・・・・・。」


瞳の強ささえ男は嘲る。
その純粋ささえ偽物だと罵る。
嘲笑の濃い笑みが男の口元に浮かんで、

​────ばん。
がたん。


続く一瞬。
貴方が身を引くより速い速度でこれは机に手をつき立ち上がった。そのまま貴方の腕を掴んで、机越しに上体を乗り出し距離を詰める。
(-180) rik_kr 2023/09/21(Thu) 12:18:25

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 渡りに船 ロメオ

何に遮られることなく、真っ直ぐと見つめた貴方の翠は。
不思議な色をしていた。
或いはどこか、寂しくも思えた。
重なっていく声に言いたいことはあって、けれどそれが形になる前に。

「……ゎ、」


手を引かれる、バランスが崩れる。
そうしてそのままに貴方の両腕の中だ。
それは酷く恐ろしいこと……のはず、だったけれど。

「…………」

少し肩に力が籠ってしまっただけで、あとは。
ああ、貴方が望むものに手を伸ばしてくれたのだと。
理解し、うれしさに瞼を落としていた。

[1/2]
(-183) mspn 2023/09/21(Thu) 12:25:36

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 渡りに船 ロメオ

「……ぁの」
「きれいじゃないよ、オレ、だって。
 ……スラムで、生きてた」

そうして恐る恐ると形にしていく。
貴方の期待を裏切ってしまうかもしれないけれど。

「悪いこと、いろいろしてる。
 パン屋のパンだって盗んだこと、あるし」

「…………春だって、売ってた」


「ぜんぜん、きれいじゃないんだ。
 きれいじゃないのに、きれいのふりしてる。
 でも……だから」

控えめに、それでも確かに。

「ロメオにいがもし、きれいじゃなくてもね」

両腕を己よりずっと大きな背へと、回す。

「……だいすき、変わらないよ」

"心配しないで"を伝えるように。

[2/2]
(-184) mspn 2023/09/21(Thu) 12:27:20

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → 幕の中で イレネオ

真っ当だ。
だからこそすぐに言い返せなかった。
貴方がマフィアを良く思っていないのは知っている。
初めて法の施行が言い渡されたとき、笑っていた姿も覚えている。

仲良くしていた、その事実を否定することはできない。
言えるのは知らなかったとそれだけ。
しかしそれも大した意味を持たなくて。
なら、なにを、いま?


「…………っ、」

音にびくりと震えた直後には、じゃらり。
腕を掴まれる、両腕を繋ぐ手錠が音を落とした。
なにを、いま。


「……な、かよくしてた。
 でも、知らなかった。
 あの人が、どんなことしてるのか」

「騙したりしてない、ほんとうに……
 警察のこと言ってもない、なにも」

重ねる毎に響かないだろう現実を痛感するばかりだ。
どうしたらいいのかわからない、思考がぐらつく。
ただあなたに信じてもらえないことが、ひどくかなしくて。
──こわい。

「……だ、ましてない……なにも、しりません……」
(-187) mspn 2023/09/21(Thu) 12:45:41

【秘】 路地の花 フィオレ → 暗雲の陰に ニーノ

/* ご連絡ありがとうございます!
墓下組はみんなそうだろうな…と思ってるので、置くだけ置かせていただいた次第です…!
ごゆっくりお待ちしています…すこやかであれ…
(-198) otomizu 2023/09/21(Thu) 14:40:05

【秘】 渡りに船 ロメオ → 暗雲の陰に ニーノ

「うん」
「うん……なんだ。お前も?
 オレも居た時あったな……」

「大丈夫。いいんだ」
「いいんだよ。それでもお前、きれいだよ」

貴方を腕の中で抱いて、きつくない力で抱きしめる。
懺悔のように零れていく過去の一つ一つを、
拾い上げては許していく。

「立派に働いてんだろ。今じゃ盗みもしてない。
 してたところでまあ、許すけど」

それでもあなたは綺麗だった。そう思った。
陽光の元で溌溂とした笑顔を自分に向けて、
それがずっと眩しかった。

「……ありがと。よかった」
「お前が許してくれてよかったよ。嬉しい……」

回された腕の温もりに目を閉じた。
伝えられた言葉の意味をしっかり飲み込んで。

(-221) susuya 2023/09/21(Thu) 17:43:13