人狼物語 三日月国


212 【身内村】桜色のエピローグ✿

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視点:


【人】 水面 禎光

 
 
 思い出作りだと言うのなら ───
 人気スポットに行くよりも、
 些細な相合傘の方が記憶に残るんじゃないか ?
 
 そんな僕の思いつきは、病弱キャラであるが故に
 お節介とまではきっと思われないだろう。

 心まで離れていくわけじゃないんだ、って
 彼女達の少し後ろから、肩を寄せ合う姿を眺めつつ
 僕は目的の場所までついていく。
 
 
(9) よし☆ 2023/05/08(Mon) 22:48:26

【人】 水面 禎光

 
 
 僕は、基本的にテレビを観ない。
 入院生活の多かった身としては
 数少ない娯楽のひとつだけど ───
 病院では専用のカードを買わないと観られなかったんだ。
 両親もカードを切らす度に補充してくれるから
 なんだか途中から申し訳なくなってきちゃって。
 ───それに、読書の方が好きだった。
 
 もう退院できないんじゃないかって思いながら
 毎回入院していたから
 外の世界をモニター越しに見せつけられるより
 頭の中で想像している方が まだ心が穏やかでいられた。
 
 
(10) よし☆ 2023/05/08(Mon) 22:48:30

【人】 水面 禎光

 
 
 つまりは ───
 テレビも観なければ、天気予報も調べない。
 荷物は最小限にしたいから、折りたたみ傘も持ち歩かない。
 学校に置き傘をしていたら、雨が降った日に盗られてた。
 晴れの日に戻ってきてたけど 雨の日にまた無くなってた。


 そんな僕が、然るべきときに傘を持ってないのは
 昔からよく或る事で。
 そういえば ───あの日もこんな曇天だったな、と
 記憶に色づけされた昔の空と 今の空を重ね合わせた。
 
 
(11) よし☆ 2023/05/08(Mon) 22:48:33

【人】 水面 禎光

 *****
 
 
 「 うん、今から帰るとこ     ・・
   傘は持ってきてないなぁ …… 瀬名は ? 」
 
 
 或る放課後。委員会の話し合いが無駄に長引き
 帰路に着こうと昇降口に向かった先で七瀬に出会った。
 
 まるで瀬名のような口調に『 おや? 』と思った。
 束の間だけ、だけど。

 瀬名は外見を七瀬に合わせて、
 七瀬は口調を瀬名に合わせて。
 似た者同士 ─── 双子なんだから それはそうか。
 
 
(12) よし☆ 2023/05/08(Mon) 22:48:37

【人】 水面 禎光

 
 
  服装や口調は、いわば彼女達の" 名札 "だろう
  他者が見分けをしやすくする為の ────
 
  僕が彼女達を間違えないのは
  もっと別のところで違いを感じているから。
 
  姉として産まれた双子の片割れと
  妹として産まれた双子の片割れ、とでも言うのかな
  滲み出るオーラというか 眼差しというか
  感覚的なモノだから、言語化するのは難しいね。
 
 
(13) よし☆ 2023/05/08(Mon) 22:48:41

【人】 水面 禎光

 
 
 尤も ────
 
 僕が知っているのは当然、
 僕と出会ってからの彼女達であって。
 其れ以前はどうだったか、なんて事は知らないんだけどね。
 
 
(14) よし☆ 2023/05/08(Mon) 22:48:43

【人】 水面 禎光

 
 
 ともあれ、少し面白そうだったので
 僕は間違えたフリをしてみる事にした。
 
 いつも呆れ顔で見守り体勢の七瀬にしては
 こういうイタズラは珍しいと思ったから。
 
 まあ、イタズラでもなく
 本来の口調に戻っただけなのかもしれないけどね。

 
 
 *****
(15) よし☆ 2023/05/08(Mon) 22:48:47

【人】 水面 禎光

 
 
 さて、古びた一軒家 ───知らない人の家にやってきた。
 
 僕は、鍵を取り出す動作には気付かなかったけれど
 傘立てに傘を入れたり、換気の為だろうか 窓を開けたり。
 きょろきょろと部屋を見回すだけの僕と比べて
 機敏に思える七瀬の動作は" 知っている人の家 "に思えた。
 
 それから瀬名が七瀬に進路の事を問いだせば
 僕は彼女達から少し離れ、別の部屋へと足を向ける。
 
 七瀬の進路 ─── 全寮制の高校。
 普段通り" 相談 "だったなら僕も瀬名も反対したんだろう。
 だから、少数派が意見を通す為の手段。
 相談ではなく" 決定 "してしまったのだろうか。
 
 
(16) よし☆ 2023/05/08(Mon) 22:48:50

【人】 水面 禎光

 
 
 もちろん、何でも僕たちだけで決められる訳では無く。
 今回なんて特に" 家庭の事情 "が絡んでくる。
 
 だからこそ─── 僕よりも瀬名の方が
 いきなり聞かされたショックが大きいのは想像に易い。
 そういう理由で会話に混ざらず、少し離れたのだけど。
 
 
 「 ……… なんだろう、日記 ? 」
 
 
 書斎らしき部屋に入ると まず本を眺め、
 それから窓際に置かれた重厚な机に視線を移す。
 その上に並べられた数冊の本 ────
 ひとつを手に取り開いてみると

         どうやら、それは日記のようだった。**
 
 
(17) よし☆ 2023/05/08(Mon) 22:48:55