![]() | 【秘】 社会勉強 早乙女 珠梨 → 元子役 辺世 流[頷き、わたしの部屋に彼を通した。 夏の間を過ごすためだけの六畳一間はとても簡素で ベッドに並んで腰掛けて、彼の話を聞く。] うん、前に話したね。 [そういえば、あったな。聞いたことも聞かれたことも。 全部じゃないって話に驚きはしなかった。 わたしだって言わなかった話があったから。 流くんのパパとママが教育熱心だったこと。 引退した後のこと、二人がいなくなってしまったこと。 静かなあいづちだけを挟んで耳を傾けていた。 視線はわざと彼を見ないようにして。] ……そっか、そんなことがあったんだ。 [彼の過去を聞けば一言だけを発して すぐに押し黙ってしまった。] (-71) Skyblue 2022/08/06(Sat) 20:19:30 |
![]() | 【秘】 社会勉強 早乙女 珠梨 → 元子役 辺世 流[パパやママが自分のせいで喧嘩をするのも 二人がいなくなることも想像がつかなかったから。 絶望も苦しみも知らないわたしが 簡単に同情して良いのかどうか分からなかった。 彼がわたしに目を向けるまでのその間、 流れたのは沈黙だけだった。 それから今のくらしについても聞かせてくれた。 窺いの眼差しがこちらを向いていた。 わたしはゆっくりと瞬きをして、少し考えて ためらいがちに彼の頭へ手を伸ばした。] ……がんばったね、流くん。 [掛けた言葉が正解だったかどうかはわからない。 けれど労いの言葉は自然と口をついていて 彼が拒みさえしなければ、頭を撫でていた。] (-72) Skyblue 2022/08/06(Sat) 20:20:18 |
![]() | 【秘】 社会勉強 早乙女 珠梨 → 元子役 辺世 流教えてくれてありがとう。 わたし……何が出来るかなって考えて えっと、正直今はわかんないけど。 ……でも、わたしは流くんに出会えて 好きになって良かったって思ってるよ。 [言葉を探しても、解決するには足りないだろうから わたしの想いをそのまま伝えることにした。] (-73) Skyblue 2022/08/06(Sat) 20:21:08 |