【人】 愛智 哲弥[ 参考書ばかりで隙間の多かった本棚は、 今まで俺が興味を持たなかった ファッション雑誌などで、少しずつ埋まっていく。 青色で統一された殺風景な部屋が、 色付くように物が増えていくのが妙に嬉しくて。 部屋をちらり、と見渡して、 一人小さく笑っていた。 宿題を終えて、止めたペンをくるり、と 機嫌良さげに回してから、筆箱にしまえば、 明日の授業の予定を確認して、荷物を整理する。 そうしていれば、窓の外はすっかり暗くなっていた。 そろそろ父が帰ってくるから、 夕飯の準備をしなければいけない。] (24) kasuga_2jp 2023/02/11(Sat) 9:43:16 |
【人】 愛智 哲弥[ ぱたり、と静かに部屋をでて、 足音を殺してキッチンへと向かう。 小さなアパートだから、気を付けないと 階下に足音が響いてしまうから、 いつのまにか、こうして歩くようになった。 冷蔵庫から食材を取り出して、手際よく調理していく。 料理はべつに上手くはないけど、 人間が生きていくには、食事は必要だから、 作れる時はこうして作っていた。 程なくして出来上がった炒飯とスープ。 一人分をよそって自分だけで食べる。 父の分も盛り付けておけば、ラップをかけて 机の上へと置いていく。 一緒に家に住んでいても、あまり顔を合わさない。 顔を合わせても何を話せばいいのか お互い困ってしまうので、楽でいいのだけど。] (25) kasuga_2jp 2023/02/11(Sat) 9:43:18 |
【人】 愛智 哲弥[ そのうち、妹のように 今日何があったか、なんて話せたらいい。 そんなことを思うようにもなったのは、 俺が彼女と出逢ったおかげなのだと思う。 ほんのりと胸の奥に温かさを感じながら、 今日という一日を終えた。] (26) kasuga_2jp 2023/02/11(Sat) 9:43:20 |
【人】 愛智 哲弥― 翌朝・学校にて ― [ 人より少し早い時間に教室の扉を開く。 誰かいれば、おはようと挨拶をしてから、 自分の席に座った。 疎らに登校してくる生徒たちを窓の外に眺めながら ぼんやりと過ごす朝の時間が結構好きで、 頬杖をつきながら、転寝をしていた。 特別な音が聞こえてくるまで――**] (27) kasuga_2jp 2023/02/11(Sat) 9:43:22 |
愛智 哲弥は、メモを貼った。 (a3) kasuga_2jp 2023/02/11(Sat) 9:45:17 |
【人】 愛智 哲弥[ 君から挨拶をしてくれた日は、良い日。 うっかり転寝していると、声をかけられない日もある。 残念ではあるけど、そんな日も 些細な気遣いを嬉しく思ってしまうのだから、 恋というのは、面白いよね。**] (39) kasuga_2jp 2023/02/11(Sat) 15:00:55 |
【人】 愛智 哲弥[ 耳にしたときに、ふつりと浮かんだ 淀んだ仄暗い感情。 ―― 嫉妬、羨望、 これも初めて抱いた感情だ。] (50) kasuga_2jp 2023/02/11(Sat) 19:10:23 |
【人】 愛智 哲弥[ 彼は、幼馴染であると、 そう答えているらしいけれど、 直接、それを聞いたことはない。 事実であると知るのがきっと怖いからだ。 初めて芽吹いた感情の行き場を失うのが、 摘まなければいけないものと知るのが、 ―――― 怖いからだ。**] (51) kasuga_2jp 2023/02/11(Sat) 19:10:26 |
【人】 愛智 哲弥あぁ、そっかテストか…… [ 先生の耳にタコができるほど言われることに 確かに、と笑い返しながら、 悩むように、躊躇うように、 少しだけ視線を泳がせてから、] まだ、その先生の出題傾向とか…… そういうの分からなくて、 桧垣さんよければなんだけど [ そこまで言ってから、 彼氏がいるかもしれない子に、 こういう誘いをしてもいいのかと、 ほんの一瞬、迷って口ごもる。 それでも、確証もないし、 できれば、ちゃんと誘いたいと、 なんとか、自分を奮い立たせて] (60) kasuga_2jp 2023/02/11(Sat) 21:25:34 |
【人】 愛智 哲弥…… 時間が合えば、 放課後とか、昼休みとかで、 一緒に勉強……する? [ 勉強は、どちらかというとできる方。 現代文や日本史とかは苦手だけれど、 理科、化学、に数学あたりは得意だ。] あ、もちろん ほかに予定があるなら断っていいし、 友だちを呼びたいとかあったら、 言って……くれていいから…… [ 照れ隠しに、後ろ頭を掻いて、 ふふと、こそばゆそうに笑った。**] (61) kasuga_2jp 2023/02/11(Sat) 21:25:36 |
【人】 愛智 哲弥ふふ、そうなんだ? あ、でも俺も髪の毛洗ったっけ?って もう1回シャンプーしちゃうこともあるし [ ぼんやりしちゃうことはあるよね。と、 おばあちゃんになっちゃったと、笑う君に、 同意するように言葉を重ねた。 大事なものは、形にしておくこと そうしておこないと、人の記憶から、 思い出も存在も、容易く消えてしまうことを、 俺は、良く知っている。] (65) kasuga_2jp 2023/02/11(Sat) 23:13:24 |
【人】 愛智 哲弥[ だって、もう。 顔を思い出せない友人がいる。 だから、そう。 君の記憶に残れるように、俺は努力していた。] (66) kasuga_2jp 2023/02/11(Sat) 23:13:26 |
【人】 愛智 哲弥俺も嬉しいな じゃあ、また都合のあう時あったら教えてね 学校でもいいし…… [ 連絡先交換する?と、 ドキドキとしながら、一つ提案をしつつ、 返事がどうであれ、約束を交わせたことに 表情には出ていなかったけれど、心を躍らせて。 君と過ごせる時間を思い描いて、微笑んだ。] (68) kasuga_2jp 2023/02/11(Sat) 23:13:54 |
【人】 愛智 哲弥おっと、そろそろ予冷が鳴るね 詳しい話は、またあとで [ 教室前方の時計を指させば、 ホームルームも時刻が迫っていることを告げる。 正直、もう少し話をしていたかった。 あと少し、ほんの少しでいい。 顔を合わせて、言葉を交わせたら、と思う。 でも、時間は有限で、時は勝手に止まってくれない。 だから、名残惜しそうにしながら、 それでも、またと言えることに密かに喜んで、 浮足立った気持ちを抑えるように座り直した。**] (69) kasuga_2jp 2023/02/11(Sat) 23:13:57 |