人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

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【神】 pasticciona アリーチェ

 
「え、あ、」
「そんな……」

その法案を聞いた時、真っ先に過ぎったのは自分を助けてくれた恩人達・・・・・・・・・の姿だ。

明確に動揺を隠せない姿がこのような法案が可決されてからは随分と賢くない振る舞いだろうが、幸か不幸か女は普段からもこんな調子だ。
賢くはないが、これで即マフィアとの繋がりで検挙される程に、普段の振る舞いの異質さは小さくはない。全く笑えた話でもないが。

「こんな、こんな強引なの……私はあまり……」
「どうして、こんな急に?
 今までの関係だって、そんな悪いものじゃ……」

まだ誰も述べなかった事を、口に出してしまう。
それがどういう意味を持つか、睨まれる可能性を理解した上で発言したわけでもないにもかかわらず、こうして考えを口に出さずにはいられない、愚かな女だった。

#警察署_朝礼
(G1) poru 2023/09/14(Thu) 21:52:04

【人】 pasticciona アリーチェ


余談だが、この時もう一つ、
女は心底自分の行いを悔いていた。
"こんな日に限って"呑気にお菓子を焼き上げてきてしまったのだ。

「これ、どうしよう……」


まさかこの場で。こんな状況で。平然と。
「今日、苺のクロスタータを焼いてきたんですよ。よかったら食べて下さいね!」
なんて笑顔で返せる女だったら、今頃女の肩書は警部補になっていたか、この場に存在しなかったのかの二択に違いない。

とは言え女が今日持ってきた鞄は普段の物より明らかに大きいもので、時折菓子を署に持ってくる時はいつも同じものを使っていたから、今日が"その日"なのは周囲もすぐに察しがつくだろう。

#警察署
(5) poru 2023/09/14(Thu) 21:56:10

【教】 pasticciona アリーチェ

 
──アリソン・カンパネッロ。
白昼夢のように聞き覚えのない名前が、突如脳裏に浮かぶ。

その人物の詳細こそはわからないが、多額の献金を現所長に行った事、マフィアの排除を望んでいる事、これによって速やかにこの震えあがりそうな悪法が施行されたという事実に、不思議と確信を持てた。

「……これもまた、私が見ている夢なのかしら」
「それでも、何一つ情報がないよりはきっと、」

アリーチェが今望んだのは、確かに「ほんの少しでもいいからこの件についての手掛かりが欲しい」と言う物で。
この夢がまた一つ、それを小さく叶えてくれた事に、まだ気づいてはいなかった。
(/0) poru 2023/09/14(Thu) 22:27:17

【人】 pasticciona アリーチェ

>>8 テオ

「もう。私が主催者だったら、
 間違いなく一か月は開催を先伸ばしにしていたわ」

意地が悪く響く声色も幼馴染となれば怖くないのか、そう軽く拗ねたように肩を竦めて。

「この法を使ってくれるのがテオだけならそうも前向きに考えられるかもしれないけど……
 それまでに冤罪の血の海で溢れないかが一番心配ね」

#警察署
(11) poru 2023/09/14(Thu) 22:37:31

【人】 pasticciona アリーチェ

>>9 エルヴィーノ

「そっ、そう、ね……一体何が入ってるのか……
 こ、こんな時に、場違いにもお菓子を……お菓子……」

失言した。さすがに女も即座に気づいた。
貴方の推測通り、出すにも出せず困っている。と言う所なのも事実。
さて次に述べられた言葉を聞けば、きらりと目が光って背筋がしゃっきりと伸びる。

「ほ、本当に? その、本当に丁度今、クロスタータを焼いてきていて……だから……」
「朝!そう!朝は食べた方がいいわよ、エルヴィーノ!」

白々しさを見事に理解しないで貴方が本気で独り言ちたのだと捉えた女は、ようやく取り出せると少し浮かれたように、仕方ないなと世話を焼けて嬉しそうに、鞄を開けて一切れの扇形になるよう複数切り込みの入ったお菓子を差し出した。

#警察署
(15) poru 2023/09/14(Thu) 22:53:45

【人】 pasticciona アリーチェ

>>10 イレネオ

「そ、そうなの……よりによって
 苺のクロスタータ、焼いてきてしまって……」

チラリ、電気鍋の方も見つめる。
明らかに自分の挙動不審な行動のせいで気遣って貰ったのは理解できたのか、さらに小さく縮こまって。
でも、しっかり鞄からお菓子は取り出して貴方が取りやすいようにそっと差し出す。

「……"こんな日"に、って、お、怒りません?
 その、一切れ食べてからこう、怒られると
 わたしとしてはとても助かりはするんですが……」

貴方が普段通りに受け止めていてくれている事を全く理解していないから、怒られる覚悟をすでに決めている決死の表情だ。

自分より年下だけど、自分よりも上司に当たる。
だから少しだけ改まった口調になっているけれど、何処かぎこちない上に発言もどこかズレていた。

#警察署
(16) poru 2023/09/14(Thu) 23:01:38

【教】 pasticciona アリーチェ

「ペネロペ!」

貴方の姿も存在していると認識すると、先ほど頭に叩き込まれた情報に靄突く頭が急速に覚醒したかのように引き戻される。

「よしてよ、貴方を逮捕するつもりはないし……
 そんな権限、私にはないわ。あっても使う気もないけれど」

逮捕されたいって言うなら別だけど、と拗ねたように零し。

「……、アリソン・カンパネッロって人、知ってる?」
(/2) poru 2023/09/14(Thu) 23:07:30

【人】 pasticciona アリーチェ

>>18 テオドロ

「……犠牲を出した上に得るものがあるとしても、
 犠牲にされた側には到底納得できないものなのにね」

「……言うならお外と家で、って事?」

これは、話題と名前両方に向けた言葉。
「ごめんね」と言って、次の呼びかけはテオドロに直しはするもののの、数日も日が空くといつもの呼び名に一戻りが普段の流れだ。

貴方がエルヴィーノのに向けた乾いた笑いの真意を知る事もなく、良かった。の言葉にうんうんと相槌をただ打つ。

>>19 エルヴィーノ

「よかった!やっぱりクロスタータは
 朝食に食べるのが一番だから、丁度良かったかなって」

非常に残念ながら、そこに気づく女ならあなたの白々しさにも既に気づいていたというところであって、つまりは貴方の苦々しさに全くと言っていいほど気づいてはいない。

元々クロスタータはこの国では朝食に食べられることが多い。だからあなたが朝食を食べていなかったのも、これまでの面倒臭がりな不摂生としか思っていないのだ。

#警察署
(20) poru 2023/09/14(Thu) 23:28:47

【教】 pasticciona アリーチェ

「まあ。そ、そんな事は……な、ないわよ?
 はぁ……もしなったらペネロペ、会いに来てね」

なんて、無理難題を述べる。
あらゆるもので鈍い女だが、さすがにこれもジョークの一つだ。本当に自分が捕まったのなら、真っ先に逃げて欲しがる。

「夢で会った」だなんて荒唐無稽な理由ですら逮捕されない暴利な悪法が施行されてしまったのだから仕方ない。

「その、さっき『少しでも手がかりが欲しい』って考えてたら、この名前が浮かんできて……」

そうして、先ほど浮かんだ内容を貴方にそのまま伝える。
(/4) poru 2023/09/14(Thu) 23:35:52

【教】 pasticciona アリーチェ

「でも……本当に、気を付けてね。
 今の警察は冤罪前提の検挙を行いかねないから……

 私も、ノッテマフィアで捕まって欲しくない人は複数いるし、何とか少しでもこの法が早く撤回される事を望んでいるわ」

あなたの所属がどこのマフィアか聞いたことはないが、この地域のマフィアと言えばまずノッテだ。
だからつい真っ先にそこの所属を想定して話をしてしまう。

「私は一介の警察官だから、こんな事知ってもどうしようもできないけれど……
 この法の施行の狙いを、少しでも力のある人に届けられれば何かが変わったりはしないかしら……」
(/6) poru 2023/09/14(Thu) 23:52:25

【秘】 pasticciona アリーチェ → オネエ ヴィットーレ

ゴン!と貴方のバーの外で小さく聞こえる音。
「いたっ」っという呟きと何かが物にぶつかったような音の後、赤くなった額を抑えながら女が一人、人気がない時間か、あるいは営業時間外に飛び込んでくる。

「ヴィットーレ!」

肩で息をしながらカウンター席にゆっくりと腰を下ろすこともなく立ち尽くしたまま、心配と困惑の入り混じった表情で貴方の名を呼ぶ。

「……よ、よかった。ここは、あなたは、まだ無事なのね。
 急に変な法案が通って、今、大変な事になって、……っ」

頭に酸素が回り切ってないのか、そもそもまだ混乱状態なのか、いまいち掴みどころのない話を振ってくる。

「わたし、居ても立っても居られなくて……」
(-53) poru 2023/09/14(Thu) 23:59:13

【人】 pasticciona アリーチェ

>>22 テオドロ エルヴィーノ

「ふふ」

あらゆる事に鈍い女だけれど、その一言に嬉しさが増したのか、頬を僅かに赤く染めながら微笑みを浮かべた。

幼馴染がこの調子なのはいつもの事で。
投げやりだとしても伝えられる素直な言葉が心に沁みる。

「よかった。これで家に帰って一切れも減ってない
 クロスタータを見て途方に暮れる事もなくなったわ。
 結構お腹膨れちゃうだろうから、無理しないでね」

「二人とも、いつも助けてくれてありがとう」

勿論何枚も食べて貰えれば助かるけれど、ここは優しい人が多いだろうから自分が持って帰る量を考えて気を使われることもないとは限らない。
だからつい、先手で無理をしないでと伝えてしまう。
(23) poru 2023/09/15(Fri) 0:26:43

【教】 pasticciona アリーチェ

「う」

あのざま。そう言われると何も否定できない。
そもそもこの法案だって現所長が大きく関わっているのだ。

「漁夫の利、かぁ……」
「もしそうなら、手を組めたらもっと、って思うけれど……
 ……検挙ばかりしている側が言い出せることではないし、
 今の警察も、そちらも絶対受け入れないでしょうね」

仕方のない事だ。そんな甘い世界ではなく、仲良くと手を組むと慣れあいは近いようでまるで違う話。
今までは緊張を放ちながらも付かず離れずの距離を取っていたのをぶち壊したのもこちらなのだ。

「……恨まれても仕方ない事、してるわね」

考えた末にその言葉が出てくること自体、やはり女の思考は比較的お花畑に近いのかもしれない。そんな小さな感情の話ではきっとないのに。
(/8) poru 2023/09/15(Fri) 0:50:17

【人】 pasticciona アリーチェ

>>24 ニーノ

「ニーノ」
「外に行くの?勿論、持って行って。……」
「今日、上手く焼けた自信作だから、可愛い一番弟子に食べて貰いたかったの」


小声でそう言ってウインクをした後に、一切れ。何かに包む?なんてやりとりもした後に貴方に満面の笑みで手渡して。「声をかけてくれてありがとう」と伝えながら、出ていく貴方に手を振って見送った。

「いってらっしゃい。がんばってね」
(25) poru 2023/09/15(Fri) 0:56:59

【秘】 オネエ ヴィットーレ → pasticciona アリーチェ

「あら!どうしたのアリーチェ、まだ開店前よ。
アタシに会うのが待ちきれなかった?♡」

カウンターの中のヴィットーレは
いつも通りの様子であなたを迎える。
膝に置いてたアルバムをカウンターに置いて、
よいしょと立ち上がれば、座りなさいなと促して。
よく磨いたグラスに氷を数個と、冷たいお水を注げば、
あなたの前に置く。

「大変なことになったわね。
その様子だと、警察にとってもサプライズだったのね。」

パチ、とお店の灯りをつければ、
ヴィットーレの顔が良く見える。
血色のいい、いつも通りの顔だ。

「でもね、きっと無理をして通したサプライズのはずよ。
無理をしたらね、必ずどこかで崩れるの。
昔、懇親会の時に皆でトランプタワーを建てたの覚えてる?
アリーチェったら、背伸びして上のところを組み立てようとして
よろけて全部崩しちゃって!ふふ、あの時は
お腹を抱えて笑っちゃったわねぇ」

くすくす、楽しげに笑うヴィットーレの姿は、
あなたを落ち着かせるのに一役買えるだろうか。
今は冷静にいましょう、とあなたの目を見ながら添えて。
(-109) arenda 2023/09/15(Fri) 6:19:39

【秘】 黒眼鏡 → pasticciona アリーチェ

――あの『反社会組織取締法』初の逮捕者が出たあと、
  そしてあなたが教会に立ち寄る日。

礼拝堂の前で、上は柄シャツ、下は短パンにサンダル履きというラフにもほどがある格好でうろうろとしている男がいる。

彼は何かを待っているよう、
あるいは冬眠を控えた熊のように
妙に重たげな動きで足を引きずり、
ぺたぺたと足音を響かせていた。

「お」

…そんな男の顔が、あなたの方を見てぱ、と上がる。

#教会
(-166) gt 2023/09/15(Fri) 17:28:11

【教】 pasticciona アリーチェ

「爺さんの代……?わからないけど、昔はもう少し、
 今より警察と仲のいいアルバがあった、んだっけ……」

爺さんが誰を指しているかは曖昧だが、小さく聞こえた言葉には思わず反応してしまう。
確かその頃は勢力図が今よりも大きく変わっていた記憶がある。

「うぅ……そう言うさっぱりしてる所は助かるわ……
 ねちっこいのは警察の方だと思うし……
 それだけ真面目に仕事してる人も多いんだけど……」

「……でも、ペネロペって随分何て言うかこう、
 争い?好きじゃないのね。さっきの手を組む話だって、
 上がいいなら構わなさそうに言うんだもの」

マフィアが好戦的な人だらけとまでは思ってはいないが、
こと一触即発まで関係が悪化していた警察相手に
そんな穏健な案を否定しない人がいるのは珍しく感じた。
(/10) poru 2023/09/15(Fri) 22:12:51

【秘】 pasticciona アリーチェ → オネエ ヴィットーレ

 
「さ、サプライズどころじゃないわ。一人、同期も検挙されて……パオロ、パオロは、少なくとも逮捕されるような人間では絶対なかったのに、……っ」

焦り捲し立てる構図になっている事、そして貴方の表情も顔色もいつも通りなのにようやく気付けば、恥らうように頬を染めて俯いた後に勧められた椅子に腰かけ、水でこくりと二、三度喉を潤す。

突如振られた昔の話には目をぱちぱちと瞬きをしたあと、懐かし気な表情になってそれに乗り出した。

「えっ、そう、そうね。……ふふ、懐かしいわ。そう、あの時みんなに喜んで貰おうとしたのに全部台無しにして……泣きべそはかいたけど、ヴィットーレがそんなに笑うから、すぐに悲しいじゃなくて楽しくなって……」

昔話を思い出せばその当時の気持ちが強く思い出されて、それに貴方がそんなにも楽し気に笑っていれば、爆発した焦りも徐々に落ち着いていき、目を細めながらコップを揺らして、わざとカランと氷の音を鳴らした。

「……ごめんなさい。もう、大丈夫。ヴィットーレの事は勿論、もし、って思うと子供たちの事も心配になっちゃって、慌てて……」
(-204) poru 2023/09/15(Fri) 22:35:12

【人】 pasticciona アリーチェ

>>31 イレネオ

「えっ、と」

厳しさに少し怯え、突如ピンと背筋が伸びる。
言い切られると怒っているのではないかと心配してしまう性分はそう簡単にかえられなくて、この日も言い切りの言葉にいちいち表情をコロコロと変えていく。

「本当……?」

恐る恐る貴方の表情を盗み見て、言葉が嘘じゃないのに気付くと途端にはふ、と息を吐いて脱力する。

「えっ、あ、大きいのがよかっ、た?
 ……それなら、これかしら」

全部均等に切っているのではなく、あえてお腹の好き具合に合うように大きさは少しばらけて切っていたから、1.4枚分くらいの大きな欠片を上から指さしている。

またその言葉で自分のお菓子に興味を持ってもらえたのが嬉しくて纏っていた怯えの空気が一瞬にして霧散した。何ともわかりやすい女だ。

#警察署
(47) poru 2023/09/15(Fri) 22:43:06

【人】 pasticciona アリーチェ

 
「そうかしら。ハードル、低いかな……
 でも『一人5枚食べてね!』って言うのは、それが実際助かるとしてもあんまりだと思うの。
 多分、業務に支障が出ちゃうし……ううん、今は出た方がいいのかもだけど……」

女は加減と言う物がまた下手であった。
最も、一切れだけでなく二切れ目に手を出してくれた時点で助かる以上に嬉しいと言う感情でめいっぱいで手から零れ落ちそうなくらいだ。

「わ、わかったわ。次こそは、
「今日、苺のクロスタータを焼いてきたんですよ。よかったら食べて下さいね!」

「って言える人間になってみる。この日以上に恐ろしい日なんて、そうないもんね」

幼馴染の言う通り、この日程にやらかしてしまったと言うほど恐るべき間の悪さに出会うことは早々ない。次からは明るく堂々とお菓子が飛び出てくるはずだ。

#警察署
(48) poru 2023/09/15(Fri) 22:53:39

【秘】 pasticciona アリーチェ → 黒眼鏡


「アレッサンドロ、さん?」

あ、と貴方を視界に映した時に真っ先に声が零れて、
それから貴方との再会を安堵したように駆け寄ってくる。

「だ、大丈夫でしたか?よかった、無事で……
 い、今凄く大変なことになっていて……」

なんて、そんな事は当然とっくに知っているだろう相手た捲し立てそうになっているのに気付き、一度息を呑めば貴方に申し訳なさそうに頭を下げた。

「あの……誰か、お探しでしたか?何か用事があったなら、
 代わりに教会に言付けてきますけど……」

#教会
(-206) poru 2023/09/15(Fri) 23:00:11

【教】 pasticciona アリーチェ

「……そう、そうだったの」

アルバファミリーと言うマフィアがあったのだと自分は知識としてしか知らなかったが、彼女のように血縁者がアルバの物だったなら、少し無神経な言い草をしてしまったかもしれない。少し後悔を秘めつつ。

「……ペネロペは、割り切るのがうまいのね。
 私はどうしても地続きに考えてしまって、半端に情が沸いて、その結果どちらにも迷惑をかけてしまいそうだもの。
 お爺様も、今のペネロペに近い考え方だったのかしら」

「……ただ……え、っと……ううん、やっぱりなし、で」

争いについての考え方はそれは最もだと何度も頷いて聞いていた。
ただ一つそれを聞いて思い浮かんだことがあるが、それは口に出さない方がいい話題なのも薄々察していて。だからこんな歯切れの悪い中途半端な話題ひっこめになった。
(/12) poru 2023/09/15(Fri) 23:20:43

【秘】 黒眼鏡 → pasticciona アリーチェ

「ちょうどよかった、<kana signorina>お嬢さん<kana>」

今まさに街を騒がす大騒動の、
プレジャーボートくらいなら沈んでしまいそうな渦中の
さらに真っただ中。
そういう立場にいるはずの男は、とんと礼拝堂に続く石段を蹴る。

とん、とん、とんと緩やかに。
大股であなたのほうに近づくと、
黒眼鏡の奥の瞳を細めて、にかり、と笑った。

「ああ、ご心配どーも。
 まぁこのとおり、まだお縄を頂戴してはいないんだが」

礼拝堂の方を振り返る。

「そう、ちょうどよかった。
 声をかけられそうな人が見当たらなくてね、
 言伝を頼みたいんだ」

そうして、肩に担いでいたアタッシュケースをぶらり、と下げた。

「実はね、寄付がしたいんだが。
 寄付って使い道が指定できるものだっけか?」

それは寄付ではない。

#教会
(-211) gt 2023/09/15(Fri) 23:27:26

【秘】 pasticciona アリーチェ → 黒眼鏡

「構いませんよ、何……」

「を、………


アタッシュケースの方にまず視線を移して固まり、
続いて述べられた言葉に更に固まる。
文字通り、雷にでも打たれたような衝撃が走った。

「だ、だめですよ!使い方を指定したら賄賂ですよ!」

思わず叫んでしまったが、献金と賄賂と寄付と言う物は紙一重と言われればそうハッキリ答えられないのも事実である。
それはともかくとして、中に何が入ってるのか、想像通りでも想像外でも恐ろしい事になりそうだな、と思いながら声を震わせたまま尋ねる。

「いえ、いえ……指定の内容にも寄るかもなんですが……
 一応お聞きますが、どんな使い道をお望みですか?」

#教会
(-213) poru 2023/09/15(Fri) 23:38:25

【秘】 黒眼鏡 → pasticciona アリーチェ

「まぁーまぁーそう言わずさあ」

「……」

「あんまり大きい声じゃあ言えないから、ちょっとこっち来てくれる?
 ちょーっとだけ、すぐ終わるから。
 そう、そこの物陰辺りにさ。
 プライバシーってのがあるじゃん、俺みたいな男にもさ、一応さ」

にやーー…っと笑ってなにやらまくしたてながら、
礼拝堂の脇の茂みを指さす。
黒眼鏡、柄シャツ、アタッシュケースと、怪しさが青天井の違法建築だ。
なんてうさん臭さだろう……。

#教会
(-216) gt 2023/09/15(Fri) 23:42:34

【秘】 pasticciona アリーチェ → 黒眼鏡

 
「え、えぇ……」
「大きい声じゃ言えないならやっぱり賄賂じゃ……」


「…………」
「プライバシーが必要なお願いもやっぱり賄賂じゃ……」


「……うぅん、……」

さすがのノッテの周辺を嗅ぎまわろうとして失敗したあげく貴方に何度も助け出された筋金入りの女でも、「これは怪しいのではないか?」という感覚は辛うじて残っているらしい。

さて、どうしよう。とは言え、とは言えだ。
貴方の外見の胡散臭さは今に始まった事ではないし、もしかするとまともな寄付だった場合は教会に取って大変助かるのも事実。
そもそもこの女は貴方の意図がどうであれ、貴方に恩義を大層感じている。
万が一の最悪が発生するとしても、この役目を他の教会の人間に押し付ける訳にもいかない。と、くれば。

「……わかりました。ついていけばいいですか?」

こんな状況下でも、女の答えはYESだ。

#教会
(-218) poru 2023/09/15(Fri) 23:58:35

【秘】 黒眼鏡 → pasticciona アリーチェ

「そうそう、ついてくるだけでいいから」

このままホテル来いって言ってついてきそうだなあ。
とかいうと怒られそうなことを口にしない程度には配慮があった。


アタッシュケースを再び肩に担いで、
コッチコッチー、と手招きしながらぐるりと角を曲がり茂みの中へ。

がさがさ、と木立を腕でかきわけて、木漏れ日がまだらに落ちる
木々と壁の隙間にあなたを引き込むと、

「ん」

笑顔でアタッシュケースを差し出した。
……重そうだ。


#教会
(-219) gt 2023/09/16(Sat) 0:05:09

【秘】 pasticciona アリーチェ → 黒眼鏡

 
「こう、もう少し言い方がある気がするんですが……
 わ、私以外だったらビンタされているかもしれません」

最も、もし貴方が口にしていてたとしても、怒るどころか本当についていく愚かさを秘めていたが、辛うじてそれが明るみになる事はなかった。

「……その。わ、わたしでも持てる重量、ですか……?」

……重そうだ。
いくら警察官として鍛えているとはいえ、見かけが想像以上に重そうだったため思わず弱音を吐いてしまった。
だがここで引くわけにもいかないので、差し出されたケースを、とりあえずは受け取ろうとする。

「寄付の使い道は希望があるんでしたっけ」

#教会
(-221) poru 2023/09/16(Sat) 0:15:45

【秘】 黒眼鏡 → pasticciona アリーチェ

「こう見えて紳士でね。
 言って大丈夫そうな女性にしか言わないよ」

紳士はそもそもそういうことを言わない。
軽薄な笑みに頬を歪めながら、
「大丈夫大丈夫」と根拠なく言ってケースを渡す。

「手離すよ」

石でも詰まっているんだろうかという、
ずしり、とした重み。
とはいえ、ケース自体はそこまで大きくはない。
…両手で抱えられないことはないだろう。

「そう。そこにさ」

くい、と後ろを指さす。
茂みの向こうには簡素な柵があり、その向こうには共同墓地が広がっている。
葬儀もなく、きちんとした墓地に運ばれるでもない
縁無き人をただ静かに埋葬する、そのための場所。


「知り合いがいるんだ。
 彼女のために使ってほしい」

――黒眼鏡の奥の瞳が真っ直ぐに、あなたの目を覗き込んで。

気が付けば、その顔からは笑顔も軽薄な態度も、
嘘も虚飾も、なにもかも。
何もかもが、剥がれ落ちていた。
(-224) gt 2023/09/16(Sat) 0:28:05

【教】 pasticciona アリーチェ

「……身内の事が大好きなのね。
 その為に身を切れる人こそ本当の身内想いなんでしょうね」

自分は、どうだろう。

「身内のように親しい子もいれば大切な同僚もいるけれど。
 守る為に、恩人に銃口を向けられる自信はない、なぁ」

ひっこめた話題については暫く悩んでいたが、「ごめんなさい」と告げてそれ以上それについての発言はなかった。
自分の小心者の度合いにまた少し心が磨り減る。
(/14) poru 2023/09/16(Sat) 0:28:31