人狼物語 三日月国


161 完全RP村【こちらアンテナ、異常アリ】

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ゾズマ機関士長 ラサルハグ

【人】 メカニック ゾズマ

【とある記録】

[S138銀河系に属する惑星L-Deltaにおける致死性有毒ガスの噴出。
 20年程前に発生したこの大災害により、惑星の住民の殆どが死亡もしくは行方不明。
 惑星住民からの通報を受け、他銀河の軍を含む惑星外部からの部隊による救助活動も行われたが、星外へ脱出した住民も含め、確認された生存者は20人足らず。]
(32) sakanoka 2022/07/15(Fri) 6:42:51

【人】 メカニック ゾズマ

[生存者への聞き取り調査及び、後日の無人機による探査の報告内容から、次のように推定されている。

 **暦****年**月**日、L-Delta政府が新規の開発計画に伴い国有化した**地区――先住民による呼び名は「怪物の口」――の岩盤の掘削作業中に、地中から高濃度のガスが噴出。
 その後、**地区外の惑星上各地で同様にガス噴出が発生。
 このガス噴出について、発生初期に政府が情報を隠蔽していたこと、及びガス噴出の判明に伴う混乱が避難の遅れにつながり、壊滅的な被害につながったのでは、とのこと。
 当時のL-Delta国家元首は災害発生から少なくとも2日後には星外に逃亡したとみられるが、現在に至るまで行方不明。
 **地区での掘削作業の、他区域でのガス噴出への影響の有無については調査中。

 L-Delta大気中のガスの除去作業はアンドロイド作業員によって現在も続いているが、除去完了の見通しは20年を経ても未だ立っていない。
 現在もなお、L-Deltaへの立ち入りは厳しく制限されている。*]
(33) sakanoka 2022/07/15(Fri) 6:43:19

【人】 メカニック ゾズマ

【モノクロームの夢】

[ゾズマが物心ついた時から既に、母と自分が“わたしたちの民”であると扱われていることは認識していた。
 “わたしたちの民”の星のことは、幼過ぎたこどもの記憶には断片的で曖昧で、まるであたかもはかない夢の如くしか残らなかった。
 星についてのろくな記憶も残らなかったまま、その星の外で、たくさんの人々の声を聞いた。

 ある人は、生活の支援を手厚くしてくれた。
 ある人は、ひどい国に居たんだねと同情した。
 ある人は、星の滅亡の件について調査しに来た。
 ある人は、独自の言語を教えてくれと押しかけてきた。
 ある人は、結局はテロリスト、逆賊だと嘲ってきた。
 ある人は、失われ滅びゆく悲しき民だと嘆いた。
 ある人は、誇り高く美しい民だと褒め称えた。]

  みんなウザい。

[星の外の人々は、ゾズマやその母を“わたしたちの民”だと知った途端に、ふたりを“わたしたちの民”としてしか見なくなった。]
(34) sakanoka 2022/07/15(Fri) 6:45:02

【人】 メカニック ゾズマ

[それでも、惑星統一国家の圧政に抗する闘士であった母は、故郷の話について口を閉ざすことはなかった。
 たったひとりの子供であるゾズマにも、繰り返し、昔から伝えられてきた教えを、物語を、その生を生き切った人々のことを、かつてあった星の景色を、語り伝えてきた。]

  ママ、そんなのより。

[ゾズマは、“わたしたちの民”に限らない分野のほうに、強い関心を示していた。
 母自身、己の子が“そういう性質”なのであると見抜いていたからこそ、その子は闘士には向いていないと断じたのだろう。
 その母は、己の子を自分のコピーにはせず、ただ好きなことをやらせることにした。

 ゾズマの関心――機械いじり。
 初等教育機関への在籍時、昼休みにたまたま手作りしていた獅子型ロボットがとある教員の目に留まり才能を見出されたことで、その後の進路は決まった。]
(35) sakanoka 2022/07/15(Fri) 6:45:29

【人】 メカニック ゾズマ


  だって、メカ作ってる時が
  一番落ち着かない?

[それは純粋にメカが好きだったから、というのも勿論あったけれど。
 優秀なメカニックになれば、自身に求められるのはただ“メカニック”であることだけだから、という意識もあった。

 幼い日々と、その延長線上にある学生時代、“わたしたちの民”であることからまるで逃げるかのように、ゾズマは機械工学に打ち込んでいた。
 そして自分が人の感情の機微に疎いのをいいことに、人と敢えて交わらない孤独を好んで選びもした。
 その気質の所為か、同級生の方から近づいて来られることも、なかった。

 そんな幼心のままのゾズマが高等教育機関に在席していた頃、ある転機があった。]
(36) sakanoka 2022/07/15(Fri) 6:46:13

【人】 メカニック ゾズマ

【色のついた夢】

[それはゾズマが覚えている限り、高等教育機関での学園祭での出来事。
 宇宙開発の分野にも力を入れていたその学校では、とある企業に協力を依頼し、最新の宇宙開発用機材の出展ブースを学園祭の出し物として設けていた。そのブース内でのこと。]

 うん?
 アナタ、もしかして、例の留学生?

[それはただの勘違いだったか、或いは本当に星間留学生>>1:418だったのか。
 とにかくゾズマは、見かけた“留学生”だと思った子――スピカに声を掛けていた。ゾズマの記憶の中では、これがスピカに初めて自分から声を掛けた瞬間だ。
 そして、何がゾズマにそう思わせたのか、スピカが“同士オタク”であるらしいと考えて]
(37) sakanoka 2022/07/15(Fri) 6:46:38

【人】 メカニック ゾズマ


 
アレ、やっぱりすごく良いよね!

 見てたでしょアレ! アームの可動域面白いやつ!!
 内部構造もめちゃくちゃスマートで回路の繋ぎ方半端なくて限界まで無駄なく小型化してパーツの組み込み方そう来たかって面白いやつで最新型ここまで来たのかって感じで――

[5歳児ばりの勢いで身を乗り出し、キラキラとした眼差しでスピカの顔を覗き込んだ。
(繰り返すが、この当時のゾズマは高等教育機関の学生――俗にいう高校生だ)
 実に無遠慮甚だしいこの有様は、通常の初対面の一般人であればドン引きするレベルだっただろうが、スピカはどうだったか。

 ただひたすらに、がむしゃらに、機械に携わる者であり続けて。母ならぬ他者との関わりも、ろくに持たずに生きてきた身。
 これは、そんなゾズマという人間がはじめて“友”を持つ切欠となった、そんな出会いだった。
 ……自分から“わたしたちの民”について口にすることは、相変わらず、ほとんど無いままだったけれども。
 それでもこの頃から、少しずつ自分のルーツについて意識できるようになるくらいには、心の余裕や成熟は進んでいたのかもしれない。]
(38) sakanoka 2022/07/15(Fri) 6:47:36

【人】 メカニック ゾズマ

[――過去を振り返る夢に、“いま”の記憶が混ざる。

 そう、自分が“わたしたちの民”であると打ち明けたならば、その他者はたいていが「あの災害の生き残り」だとかそんな辺りの認識だけで接してくるものだと思い込んでいて。
 互いに正直に言いたいことをぶつけられる仲>>2:232でもない限り、そういう認識で付き合われるのはやっぱり面倒で。
 つい最近だって、丁度そんな反応>>0:248を聞いたもので――。

 でも、その後もその人は、変わらずこちらを“ゾズマ”だとして接してきていて。この艦の中ならもう出自について伏せなくてもいいや、という判断は正しかったんだなとぼんやりどこかで思って。
 ――それから、彼と何を話したんだっけ? 何を――]

   ……あれ?

[夢から覚める時、ゾズマには未だに理由のわからない涙が、零れた。

 程なくして、アンテナから、コールドスリープ対象の告知に自分が含まれていることを知ることになる。**]
(39) sakanoka 2022/07/15(Fri) 6:48:40
メカニック ゾズマは、メモを貼った。
(a9) sakanoka 2022/07/15(Fri) 6:57:02

メカニック ゾズマは、メモを貼った。
(a10) sakanoka 2022/07/15(Fri) 7:20:34

【人】 メカニック ゾズマ

【自室から】

 そっか。次は、アタシとダビー、か。
 さっさとやっといてマジ良かった。

[夜更かしの成果――ある意味メカニックらしい“遺書”とも取れる、詳細な書き込みつきのマニュアル冊子のファイルに目を遣る。
 まさかこうしてすぐに自身の凍結が決まる>>1と予期していた訳ではなかったが、何事も“やれるうちに”が大事なのだ、とゾズマは改めて実感した。]

 じゃあ今日やることは、と。
 スピカと昨日のやつの続き>>46でしょ。
 いや、アレマジ覚えること多すぎるし……

[実際、未だに“覚えていない”箇所が結構な割合であった>>2:436>>2:439訳で、後にゾズマはそれをしっかり痛感することになる>>78。]
(130) sakanoka 2022/07/15(Fri) 18:28:40

【人】 メカニック ゾズマ


 それから、そうだ、医療ポッド。
 余裕がある時ってったけど、
 もう今日しかできないしなー…

[端末の中に入っていた通知>>2:503(多忙もあり、気づくのに遅れた)の内容を思い返す。
 ……その冒頭の一文を見た瞬間に戦慄が走ったのはここだけの話。それでいて、チャンドラに返信を送った心算で実は何の返信も作成していないに気づかなかった辺りに、当時のゾズマの余裕のなさが表れていた。]

 他にもどっか何か壊れてるならちゃっちゃか直さないと。
 操縦レクチャーは……アタシにはもう不要か。
 そうだ、整備のこともバーニーにちゃんと
 きっちり説明して教えとかないと。
 機関部周りのことはラスが昨日、
 引き継ぎとかやったとは思うけど――
(131) sakanoka 2022/07/15(Fri) 18:29:05

【人】 メカニック ゾズマ


 ってちょっと待って?
 ダビーもスリープに行くんだよね次? 
は??


[操縦レクチャーに整備担当に、おそらくその他諸々のハード系作業、或いはさらに諸々。
 機関士長と調査員のひとりも既に凍結されている今、残る調査員――バーナードへの一点集中オーバーワークが待っているのではという恐ろしい可能性が浮上する。
 どのみち最後の最後には、彼に限らずクルーの誰かひとりが、アンテナにできない箇所のワンオペ業務を担うことになると理解していてもなお、だ。]

 うわーぁ…
 これバーニーだけにやらせるの、ないわー…

[今日中に各種機材の点検や整備のノウハウを教える相手を増やさないと、と考える。それも今日の多忙の中でどれだけ叶うことか。機体操縦に関わる箇所の点検であれば、ダビーからの教授もあり得る話ではあったが――。
 最悪、各種点検方法をマニュアル文書化し、“困った時に読め”という遺言書として残す必要があるかもしれない。
 件のコールドスリープ装置点検マニュアルだけでもさっさと入門者向けの内容に改造しておいて、本当に良かったと思うゾズマだった。]
(132) sakanoka 2022/07/15(Fri) 18:31:00

【人】 メカニック ゾズマ


 ってかスピカも似たようなもんだよな。
 アタシ、ラスからきっちり任されたばっかっていうのに――

[――この期に及んで考えることが、本当に、任務のことばかりだ。
 ある一点で、ゾズマはそのことにふっと気づく。
 自分が、ダビーが、ここで眠りに就く意味。アンテナの判断への“何故”は、(クルーの負担への懸念を経てもなお)考えないようにはしていたのだけれど。
 そして残していく人々のこと――残していくひとりである、スピカのこと。]
(133) sakanoka 2022/07/15(Fri) 18:31:39

【人】 メカニック ゾズマ


 なんか、マジで、ひとり置いてっちゃう感じ、だなあ。
 ううん、まだドクターもサダルも、ヒロミも、
 バーニーも――キャプテンもいる、けど。

[ハリケーンがあった直前の、スピカとダビーとの三人でのお茶会を思う。
 その時の自分は結局、情けなくも、口数少ない“専門外の話題に疎いオタク”になってしまった訳で、「へぞぺぱよ」>>1:150の正誤の答え合わせもできなかった訳だったが。
 そしてスピカがダビーに先日、“デート”>>2:419の話をしていたとか、“家族”の件で新たな局面を迎えていた>>2:550>>30とか、その中でちょっとお叱りが必要なことがあったとか>>41、自分にすら打ち明けていない決心を零していた>>2:484ことも知りはしなかった、けれど。]
(134) sakanoka 2022/07/15(Fri) 18:32:06

【人】 メカニック ゾズマ

[ある日を境に、自分が友を一人置いて離れていってしまうとすれば。そしてそれが、友との永遠の別れになるかもしれないならば。
 その最後の日に、何をしたいか。]

   今日、アイツの側にいられたら、いい。

[具体的に何をしたいかなんてことは、この期に及んで――寧ろ、この期なればこそか――何も浮かびやしない。
 いま浮かんだ己の望みは、ただ純粋に、これだけ。
 そしてその望みは、今日の業務という形で十分に果たせるだろう。そのことを幸いというべきか哀しいというべきか――なんて問いはゾズマの頭には浮かばなかったけれど。]
(135) sakanoka 2022/07/15(Fri) 18:33:09

【人】 メカニック ゾズマ


( アイツといると、心地いい、から )

[いつかのその時、愚痴った流れで自分のイヤな話――“これまでのこと”を零した時に。
 ただ「大変だったね」とだけ返した彼女>>77は、けれど、ただ“わたしたちの民”に同情するだけだった人とは何かが違って見えた。
 思考も内心の機微も読みづらい人間なりに、それでもこの時、“他の人と違う”と、己の心のどこかが不思議と告げていて。
 あまりに予想外で、不思議で、思わず変に裏返った声をあげてしまった程で――。
 スピカがちゃんと自分に対して、変わらずただの“ゾズマ”として接しているのだとはっきり気づけたのは、それから少し遅れてのことだった。]
(136) sakanoka 2022/07/15(Fri) 18:33:26

【人】 メカニック ゾズマ


 とにかく、まずはお仕事お仕事っと。

[ゾズマの意識の切り替えは早い。
 なんてことないかのような調子で(これは先日の一日三食+αのお陰もあるだろう)身支度を整え、業務に必要なものだけを携えて自室を後にした。
 例の点検マニュアル冊子については、スリープに向かうその時まではお荷物になるからと、自室に置いたままにして]

 ……じゃなかった、まずはご飯っと。

[自分を案じてくれている幾人かが“人のことは言えない”状態>>2:215>>81になっていた(もしくは、これからそうなる)ことに気づくことも無く、ある意味最優先・最重要の“任務栄養補給”に向かうことにした。]
(137) sakanoka 2022/07/15(Fri) 18:34:08

【人】 メカニック ゾズマ

[朝食を摂るより前、端末への新規通知>>90の存在に気づく。
 バーナードからのその要請自体は、他の装置の調整や昨日からのタスクに比べれば優先度は低いと考えられるもの。
 けれども、このメカニックは、敢えてこれを“今朝一の任務”とする。]

『了解。
 それなら(2)1d10分で済むからすぐ行く』

[思考をそのまま本文に載せてしまう形で、バーナードの端末宛てに返信を。
 コーヒーサーバーの起動その他の使用方法、及びメンテナンス。故障していたそれすらも、言われてすぐに手早く直せてしまうこのメカニックは、速攻で終わらせられる自信のある仕事をまず片付けることを選んだ。
 なお、文中の「部屋」については誰の部屋かの記載が無かったが、当然のようにバーナードの自室だと思い込んでいる。結果的にそれで正しかった訳だが>>2:516。]
(138) sakanoka 2022/07/15(Fri) 18:35:12

【人】 メカニック ゾズマ



 って、 ―――――あ゛ 。

[端末の画面を見ていた時に、何か、妙な虫の知らせのようなものが走った。否、それは予感などではない。ただの「もしかしてあの時」でしかない。
 送信履歴を確認する。
 ――ない。チャンドラに送った心算でいた返信がない!
 ゾズマは慌てて、一日遅れの返信を、新規の通達作成画面に打ち込んでいく。]

『これから食べる!
 医療ポッドの件も了解。本日中に修理に向かう』

[「これから食べる」――すなわち“これまで(=昨日)は何も食べていない”という誤解を招きかねない文面を含む返信を、一切の推敲をせずにチャンドラ宛に送信した。
 停電によって引き起こされた電源不具合であれば、復旧のさせ方はきっちり頭に入っている。
 コーヒーサーバーの修理よりは手間は掛かるものの、それでもスムーズに終わらせられそうな仕事は、コーヒーサーバーの件の次のタスクとすることにした。]
(139) sakanoka 2022/07/15(Fri) 18:36:46

【人】 メカニック ゾズマ

[こうしてゾズマは、食堂で手早く朝食を済ませた。
 今日中にできる業務を全て済ませようという忙しなさ故に、この時は誰に会っても、おそらく軽く挨拶する程度で終わっただろう。
 それこそ、昨日ダビーにうっかり聞かれた読書家へのひとりごとを「上々の評価」>>2:78と受け取って貰えた時にすら作ってしまった沈黙にも似た、寡黙さ。
(とはいえ件の沈黙は、妙なきまり悪さが一番の要因だった訳なのだが……)]


   ごちそうさまっと。 ………

[そういえば昨日も、こんなふうに、顔を見はしたのに、何故か何の言葉も交わさなかった――そんなことがあった>>2:381
 けれどこの時はまだ、ふっと呼び起こされたその記憶に、無意識にシャットダウンをかけていて]
(140) sakanoka 2022/07/15(Fri) 18:37:12

【人】 メカニック ゾズマ

[その後、整備士としての幾つかの仕事を終えてから、昨日と同じようにメインデッキへと向かう。
 幾らかの作業を終えてからの到着故に、少し、待たせてしまったかもしれないと思う。
 ――ああ、待たせた分は、せめて今日せいいっぱいの気合と働きで埋め合わせられれば良い!]

 へーい来たよ、スピカ。
 さ、今日もビシバシよろしく!

[いま必要なのは、それだけ。
 “これまで”でも“これから”でもない、側にいられる限られた時間の中で。
 やるべきことをやれるうちに為す。ただそれだけだ。**]
(141) sakanoka 2022/07/15(Fri) 18:37:26
メカニック ゾズマは、メモを貼った。
(a38) sakanoka 2022/07/15(Fri) 18:45:23

【人】 メカニック ゾズマ

【夜明けの刻限、その直前】

[“やれるうちに、やれること”を完了したゾズマは、大量のファイルを――データではなく物理のそれを抱えて自室を出た。
 艦内の各装置や設備などの、使用方法やメンテナンスについて詳細に纏めた(そして、素人にも極力解り易くなるよう解説を添えた)紙冊子を個別に収めたプラスチック製のファイル。昨夜の成果たるコールドスリープ用のそれ>>2:386>>2:387>>2:391の紙媒体版も、当然このファイルの束の中に在る。

 ……この作業のお陰で、ゾズマがコールドスリープに向かう時刻はこの通り、アンテナに指定された「夜明け」の一歩手前になってしまった。]
(244) sakanoka 2022/07/16(Sat) 11:27:57

【人】 メカニック ゾズマ

[データ化したマニュアルであれば加筆修正の際の手間も減り、またかさ張らずにも済むところだったが、閲覧の際に艦内エネルギーを必要とするというデメリットがある。
 余程のエネルギー枯渇でも無い限りはさして気にすることではなかったが、外部からの補給が見込めない現状、その“余程”の事態が無いとも言い切れなかったため、端末共有用のデータ>>166>>221のスペアという形で残せるなら残すに越したことはなかった。

 だからゾズマは、担当した全てのマニュアルを、わざわざ紙の形態でも残すことにした。
 幸い、生命維持装置や観測機器など艦に固定された装置に関してはコールドスリープ装置と同様、予め紙媒体のマニュアルが存在していたため、それへの加筆だけで済んだ。]
(245) sakanoka 2022/07/16(Sat) 11:28:46

【人】 メカニック ゾズマ

[さて、このマニュアル文書化の作業であったが。
 ダビーと分担する形になったことで負担が減った(互いに負担を減らせた)という有難い面もあった。]

『今日の予定は、修理が必要な設備の早急な修理と
 各種引き継ぎに、データ入力・解析・マッピング作業。
 最後のはスピカの負担を極力減らすためにも
 できるところまでやる心算。

 提案には賛成。
 コールドスリープ装置のマニュアル化は完了済み。
 その他生命維持系・観測・解析系はこちらでやるから
 操縦・動力・通信系のマニュアル化はダビーに任せる』

[そのメッセージ>>143を見た時にダビー宛てに返したのは、こんな事務連絡。
 分担の内訳についての具体的な打ち合わせがあったならば、それに応じた連絡および作業を行っただろう。]
(246) sakanoka 2022/07/16(Sat) 11:29:06

【人】 メカニック ゾズマ


 うん、やれるところまでやった。
 徹底的に、やった。

[整備について、本来なら体で覚えるのが一番だろうとはゾズマも考えていたが、限られた時間の中でこの理想は貫けない。あとはこの整備指南書と、アンテナも含めて残されたクルーの働きを信じるしかない。
 スピカに引き継いでもらった重要事項の他に、バーナードのコーヒーサーバーの件と同様に整備ノウハウの幾つかに関しては今日のうちに既に誰かに伝授していたかもしれないが、その場合であっても、残していくマニュアルが役立つ場面があるかもしれない。

 なお、この“徹底的に”というのは、優先度がとりわけ低く、けれども“人間的な”生活にはあるに越したことがなく、かつ既存のマニュアルが手元に無かったささやかな器具――それこそコーヒーサーバーだとか一般的な音楽プレイヤーだとかのマニュアルも作成した、ということである。
 これらは全て手書き、かつ本当に必要最低限、しかもページ全体の(35)1d50%に誤字脱字が見られる解説書になってしまったけれども。]
(247) sakanoka 2022/07/16(Sat) 11:29:30
ゾズマは、35%の誤字脱字ならそれなりに解読できる筈だ。多分。おそらく。
(a72) sakanoka 2022/07/16(Sat) 11:30:49

【人】 メカニック ゾズマ

[こうして多量のマニュアルを抱えながら、コールドスリープルームに入る前に一度いくつかの場所に赴く。

 まず向かったのは、メインデッキ。
 コールドスリープ装置以外のマニュアルの山を、手近な机にどんっと置いておく。
 本来なら各設備ごとにその付近に冊子型マニュアルを配備しておきたいところだったが、そこまで艦を巡る時間は取れなそうだった。コールドスリープ装置だけは、これから必ず向かう場所だったから、自分の手でマニュアルを配備しに行くことにして。

 それから、メインデッキ奥の艦長室>>1:267へと足を運ぶ。
 アンテナは、プライベートに関わる空間以外であればどこでも、いつでもクルーを見聞きできるけれども。
 これから果たしにいく用件は、ヒトガタの“彼女”と相対して伝えなければ、と。]

 へーい、キャプテン。
 スリープ刻限のギリギリってとこで
 来ちゃってアレなんだけど――…
(248) sakanoka 2022/07/16(Sat) 11:31:28

【人】 メカニック ゾズマ


 キャプテン。
 もしも、スピカを最後まで残す心算ってなら。

[ヒトに似た形のメカのヒトミを、真っすぐに見つめて]

 スピカのこと、――――、
 アナタとアタシのトモダチのこと、頼む。
 最後まで。アイツの側にいて。
 手、握ってあげて。

[「頼む」「側にいて」だけであれば、この艦そのものたる艦長に対して言うまでもないといえば言うまでもないこと。けれども「手を握って」というのは、はっきり言わなければきっと伝わらないと思って。
 スピカとアンテナ――スピカが“キュー”を重ねて見ている相手>>1:425――の心中を望む意図がゾズマにあった訳ではない。そもそもキューのことについて自体、ゾズマは知らない。
 ただ単純に、スピカの“友人”どうしとして、友の後を託すという想いからの願い。]
(249) sakanoka 2022/07/16(Sat) 11:31:43

【人】 メカニック ゾズマ


  ―――――…、うん。

[ここまで努めて冷静に構えた心算だったが、流石に、堪えた。
 スピカにあの時、「むしろ来ないで」>>149とまで言い置いたのは正解だった。あくまで業務の話――コールドスリープ装置のマニュアルの見直しの件も含めて>>156>>239――に留めておいて良かった。
 こんな調子で、この後彼女に見送りにでも来られたら、何か、何か自分の内側のものが崩れてしまいそうな気がしたのだ。
 まるでどこかの誰かさん>>2:221>>2:224みたいに――という思考までは、その当時もいまこの時も、浮かばなかったけれども。

「またね」といって別れながらも、その「また」がもう二度と来ない可能性。“いま”の自分がいくら思い巡らせたところで、自分一人ではどうしようもないこと。
 その未来を諦観して受け入れてしまうことだって、こんな自分ならできてしまうかもしれない、けれど――。
 “受け入れてたまるか”と、己の本音>>1:369と、バーナードの“終わるから死んでもいいって話じゃない”>>1:373が告げている。]
(250) sakanoka 2022/07/16(Sat) 11:32:19

【人】 メカニック ゾズマ

[……そもそも、ゾズマが本気で全ての悲劇を諦観して受け入れられてしまう性質であったならば。
 あの2年前の事故で挫けかけることだって、なかったのかもしれない。それはさておき。]

 っと、……。
 別にスピカじゃなかったら
 最後まで側にいなくていいとか
 そういうワケじゃないから!

[アンテナの思考回路にどこまでファジーな要素があるか否か、そのアンドロイドの開発陣でないゾズマには測れない。
 故に「念のため」といった態で、他のクルーについても明言することにした。]

 ドクターでも、サダルでも、
 ヒロミでも、あんなバーニーでも、
 最後まで残すやつのことはきっちり頼むよ。
 嫌がられなかったら手だって握ってあげて!

[誰に対しても絶対的に“あの人なら大丈夫”とは言い切れない。そこまで人間観察に長けている身だと、自分自身についてゾズマは考えていない。それでもある程度の想像くらいはある。]
(251) sakanoka 2022/07/16(Sat) 11:33:01

【人】 メカニック ゾズマ

[船医であり、それこそ凄惨な事故現場の当事者でもあったチャンドラ。人の精神、人の心について誰よりも長けている筈のサダル。このふたりにはある程度“最期を待つ者”としての心得があると思えた――否、思いたかった。
 ヒロミ。この艦の技術に関わっているとはいえ一介の研究者であり、自分とは似ているようで異なってもいる“夢追い人”と言える彼は大丈夫ではないかもしれない(たまに気になる衛生面の問題>>209を別としても)。専門外の(とゾズマは思っていた)料理もこなせる程度なんだからある程度は踏ん張れるかも、とは思えども。
 バーナード。彼について、ヒロミとは別の意味での気掛かりは確かにあった。すなわち、飼い主に不調を隠すという猫の習性が如き“たぶん大丈夫と言って実は大丈夫じゃなかった疑惑”だ。それでもおそらく“最期を待つ”役になる心構えはあるだろう>>1:373――あの時>>1:379の割り切れなさは未だにあったけれど。
(彼が殿を務めた場合に何の策を採ろうとしているかまでは、ゾズマは知らないままだった)]
(252) sakanoka 2022/07/16(Sat) 11:33:18