人狼物語 三日月国


246 幾星霜のメモワール

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視点:


【墓】 栄枯 プリシラ

「そう、それを宿屋の使ってない部屋か……
 いや、広場に集めてくれる?ええ、ありがとう!
 後でおじさんの料理も頂きに来ますからねっ!」

その女はお祭りの最中至っていつも通りに。
だが今日は頼み事が多いようであちこちを飛び回っていた。

幾つかの植木鉢を、聖女祭で知り合った店主に任せて、
自分はまた他の目的を果たしに箒に乗って行く。
描いた絵空事は、近づけたのなら出来る限り叶えるべきだ。

「そうと決まれば……やることは沢山あるわね!

 飾りや費用はあたし一人でもどうとでもなるけど、
 場所やメニュー、段取りは手伝ってもらわないとだし。
 ああ、エリーさんにドレスを仕立ててもらうおうかな……」

箒は花びらを散らして魔女をどこまでも運んでいく。
髪をふわりと掻き上げ、風になびかせて。

──その背には衣服越しに淡い光が宿っていた。
(+0) backador 2024/02/08(Thu) 21:12:54
プリシラは、まるで一筋の流星。飛んで拝まれるおまじないの輝き。魔女だというのに縁起が良いったらありゃしない。
(c2) backador 2024/02/08(Thu) 21:14:20

【墓】 栄枯 プリシラ

地面を走ってると、人が絡みついてきてしょうがない。
一か所に根付くなんて性に合わないから飛んでいて。

「綺麗と言われるのも有難がられるのも、
 本当に花の目線になって初めて分かったわ!」

「もう本当にうっと〜〜しい!」

可愛らしくぷりぷり怒りながら、
生まれてから今まで溜まっていたものを吐き出していく。

「あたしが奪われたものも。あたしが授かったものも。
 最初から植物を組み替えるように、勝手に行われたこと!

 可哀想だと思われるのも全然違うわ。
 だって……最初からずっと、夢は叶えて貰っていたもの」

可愛い子を授かれた。魔女らしい力を持てた。
現実ばかりが、夢ばかりが乙女の全てではない筈だ。
それをきっと聖女様だって分かってくれたから、あたしは。

「ふふん。何も知らない街の人たちには、
 ぜ〜ったい参加させてあげないんだから!」
(+1) backador 2024/02/08(Thu) 21:40:29
栄枯 プリシラ(匿名)は、メモを貼った。
backador 2024/02/08(Thu) 21:45:54

【墓】 栄枯 プリシラ

「あ、ダーレンさん!戻ってきてたんですね!」

他の人たちにも勿論挨拶しに行くつもりだったけど、
一人だけ高いところにいたからよく見えた。

跨っていた箒を横に座り直して、その近くで浮かびに。
街の人達の有難がる声が強くなるけどそれはどうでも。

「あははっ、まさかあなたまで祝福されてるとはね。
 埋め合わせ以前に、仕返しを考えなくて良くなっちゃった」

何かしらの悪戯をするつもりだった。魔女なもので。

「そう。どうせなら祝福を受けていた方が好都合よ。
 難しいこと色々考えなくて済むし、
 街の人は前より更に親切にしてくれるしね」
(+5) backador 2024/02/09(Fri) 0:53:39

【墓】 栄枯 プリシラ


「何より。これ≠本当にちゃんと祝えるのは、
 御話をなぞる街の人や、与え給うた聖女様当人ですらない。
 同じ立場に置かれたあたし達だけ」

そんな話を街の人々に聞こえさせるのは決まりが悪いから、
ほんの少しだけトーンを落として。
けれどやはり悪戯っ子のような顔で語る。

「起きたことを諦めるでも忘れるでもなく……
 わがままな誰かさんを許し、それか恨み、
 それでも前に進むための、痣持ちだけの秘密のパーティ」

未練は計り知れないほど多いことだろう。
身に起きた不運を割り切れないのは当然だ。
最初から最後まで事故のように虐められ続けてきたのだから。

けど。その全てを。与えられ過ごしてきた時間を、
勝手に奪われただけの人生とは、一切思っていない。

「勿論気味悪がられるでしょうね!
 でも、魔女ってそういうものでもあるから。

 あたし、たった一人でもみんなを祝って、“呪う”わ。
 このお祭りと祝福を受け入れて、
 幸せそうに笑ってるやつがいるんだって!」
(+6) backador 2024/02/09(Fri) 0:54:10
プリシラは、きらきらと瞬いて今にも飛び立つつもりだ。
(c7) backador 2024/02/09(Fri) 0:54:55

【墓】 栄枯 プリシラ

「言われるまでもないわ」

そう言い残し、次の目的地へと飛ぶ──その前に。
身体を大きく使って揺らめき、
花吹雪を纏った腕を広げて広場を見下ろしたかと思えば。

「あなた達にも、華やかさがまだ足りないわね!」

天高くに掲げたフィンガースナップが響くと、
街の人々の頭上目掛けて赤いポインセチアが落ちていく。

いつか昔にやった子供だましの手品ではない、
与えられた命に宿った、こんなにも素敵な魔法。
一番見せたい相手はいないけれど、それでも。

抱えきれないほどの幸運は、確かにこの胸にあるのだから!

驚き、喜びの声、自分の笑い声、
それらを置き去りにどこかへと一直線に。
(+9) backador 2024/02/09(Fri) 23:59:35
プリシラは、白いポインセチアを三つ編みに挿して、またおかしそうに笑った。
(c8) backador 2024/02/10(Sat) 0:00:06

【墓】 栄枯 プリシラ

>>+3 エリー

一度広場の様子を見たところから真っすぐに、
魔女はドレスの相談に仕立て屋を探しに行く。

「この辺りで見かけたような気がするけど……
 まだ居るかしら。お店の方に帰っちゃったかな?」

暫くはふらふらと辺りを見回っていて。
さて、あなたの姿は見つけられるだろうか。
(+10) backador 2024/02/10(Sat) 0:11:41

【墓】 栄枯 プリシラ

>>+11 エリー

「ええ、頼みたいことがあって……
 ……って、あなた、もしかして怪我してるの!?」

ふわり流れるように箒から舞い降りて、
肩口に覗く包帯を見れば慌てたように駆け寄っていく。

「処置、はちゃんとしてるみたいだけど、
 無理しないでね。してほしくないですし」

身体を心配する様はいつも通りの表情で、
まるで何事もなかったかのようにそこにある。
掲示も、祝福も、決して気のせいではないというのに。

「……パーティを開くつもりで、
 そのためのドレスがほしかったの!
 痣のある場所──背中を曝けるような物がどうしても。

 勿論エリーさんも誘うつもりなのだけど……」

怪我のことも、痣についてのことも考えて、
やはり無理はしなくていいという心情が滲み、言い淀む。
ドレスのことだって、今は頼むのを迷っているくらいだ。
(+12) backador 2024/02/10(Sat) 1:25:50

【墓】 栄枯 プリシラ

>>+13 エリー

「大したことないあれこれを気にしちゃう性分で。
 ……何もないようならそれでいいんですけど」

癒しに造詣が深いわけじゃなし、
適切な処置がされているならそれでいい。
自分を棚に上げて、他人ばかりを気にしている。

そちらの問い、表情を窺って、
何か考え込む様子を見せては、軽く息を吸った。

「……あたしね。わかってるの。
 なんで祝福を受けた皆が萎れていくのか。

 お話で嘉すべきとされる素敵な出来事が、
 どうして当事者の笑顔を枯らしていくのか」

「早く、この夢から醒めたかったのよね」

だいたいの人にとっては悪夢と呼ぶだろうが。
それこそが紛れもない現実として焼き付いてしまうのは、
耐えがたいことに違いない。魔女はなぞらえて。

「それでも……誇りたいと思ったから。
 どんな状況でもこうべを上げて咲くように。

 あたしは本当に、現実に置き忘れたもの沢山あるけど、
 それでもこの夢に精一杯生きて……
 夢見た魔女で居られて、とっても楽しかったの!」
(+14) backador 2024/02/10(Sat) 8:00:22

【墓】 栄枯 プリシラ

>>+13 >>+14 エリー

魔女は両手を合わせて、ただ微笑む。
能天気に何もかもを受け入れたわけじゃない。
苦悩して、譲歩して、その先に浮かんだ答がこれなのだ。

「だから、強く悲しんだりして否定したくなかった。
 ……誰かが祝福したからじゃない。

 あたしが皆の分までこの夢を望むから、
 光る痣を晒して、皆の為のパーティを開きたい」

誰も参加しなかろうと、ただ独りでもそこに立つだろう。
深い事情も知らぬままどこまでも独善的に咲き誇って、
現在を肯定して、いつか踏み出すための土壌を作る。

「なんであいつは平然と受け止められるんだって、
 痣を持った誰かから疎ましく思われるくらいでいい。

 ずっと先のいつか、他の皆の心がまた芽吹くとき、
 憎たらしい大魔女の姿を絶対に思い浮かばせるわ。

 それぐらい──綺麗なドレスを、あたしに纏わせて」

葉と蔦のストールを靡かせて、えらく抽象的なイメージを。
大魔女の希望することは、それだけの大きな野望だった。
(+15) backador 2024/02/10(Sat) 8:03:00

【墓】 栄枯 プリシラ

>>+16 エリー

「強いわよ。魔女なんですし。
 ……というより、慣れてるのもあるわね。
 数ある嫌なことの中で、きっとこれが最後だから」

やはり人によっては奇妙に映るかもしれない。
あれこれ言っていても結局は耐えてしまってるから。
だから率先して立つ。好き放題する。

「ええ、ありがとう……!楽しみにしているわ。
 何度も言うけど無理はしないでね?

 辛いことを強いてしまうようであれば意味がないわ」
(+17) backador 2024/02/10(Sat) 18:53:43
プリシラは、「それなら、期待して待ってるわ」とだけ笑って、忙しなく次の目的地へと向かうだろう。>>+20
(c9) backador 2024/02/11(Sun) 8:24:11