人狼物語 三日月国


81 【身内】三途病院連続殺人事件【R18G】

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視点:


【独】 焦爛 フジノ

ふらっと散歩に行くような足取りでひとり、外へ出る。
ふわりと靡いた横髪を耳にかけ、常より早く流れていく雲の後を追うように、台風の爪痕が残る山道を歩いていく。

そして。

ごっそりと地面が抉れた箇所を、確認した。
その下に何があるか、フジノはよく知っている。
唇が弧を描き、その横をつっとなにかが流れた。

復旧作業はいつから始まるだろう。
未だ轟々と茶色く濁った水が流れる川は、村をどれほど流してしまっただろうか?
土砂はどれほど村を襲い、収穫を目前に控えた畑を押し潰しただろうか?
今年の夏、村は例年以上に飢えに苦しむだろう。
照りつける日差しと重たい泥、満たされない腹、滅茶苦茶になった住居。
それらを抱え、生存している見込みの薄い人々を探す作業はどれほどかかるだろう?

少なくとも、フジノが何処かへ消える時間は稼いでくれるはずだ。
膨らんだ腹をそっと撫で、踵を返す。
行きに包みを隠した木が無事だったことは、確認している。
回収して、ミロクの部屋の缶詰を貰って、そうして。

「……一緒に、行ってくれるかな?」

行ってくれるといいなと、思いながら。
フジノはゆっくりと病院へ戻っていった。
(-22) sym 2021/07/12(Mon) 21:42:32

【独】 焦爛 フジノ

メイジとロクが作業をしている頃。

まだ回収していないものを得るため、フジノはミロクの借りていた部屋へ向かった。
死体はもうない。けれど、血痕と匂いはまだ残っている。
あの時の事を鮮明に思い出せるほど、色濃く。

「……」

息を吐いて、部屋の中に足を踏み入れた。
床に散った赤黒い染みをそっと避け、引き出しを探す。
そうかからない内に目当てのものは見つかった。
ミロクが遺してくれた食糧。
都会へ出る間の分。それに、二人へ分ける分。

限りあるそれらをそっと抱えて、フジノは踵を返す。
そして扉をくぐり抜ける前に、ふと立ち止まり振り返った。

「……ありがとう、ミロクさん。
 私、がんばる、ね」

おやすみなさい。
そう告げて、フジノは今度こそ部屋を出て行った。
(-47) sym 2021/07/13(Tue) 22:54:23

【人】 焦爛 フジノ

初日は多くの人が集まっていた部屋。
今はガランと静まり返ったそこに足を踏み入れ、机の上に缶詰を並べる。
『メイジ』『ロクサン』
名前の書いた紙の上に重し代わりの缶切りを置いて、満足そうに頷いた。

ミロクはああ言っていたけれど、フジノは二人にもちゃんと食べて欲しいと、思うのだ。
食べることは生きることだから。
(23) sym 2021/07/14(Wed) 12:45:38

【人】 焦爛 フジノ

>>26 メイジ
「缶詰、だよ」

缶詰です。
水を煮沸して、飲み水を工面していたようだ。
薬缶を手に戻ってきて隣に座った。


「ミロクさんが、死ぬ前に、貰っていたの。
 ……私だけ、食べるのは、ダメだと思ったから」

だから、ふたりの分。

「……ねぇ、メイジ。あのおはじき、いくつか、貰ってもいい?」

貴方の視線の先にあるおはじきを見て、ぽつりと尋ねた。
(27) sym 2021/07/14(Wed) 19:18:08

【人】 焦爛 フジノ

>>28 メイジ

「うん、いいの。私の分も、ちゃんとある、から。
 ……ふふ。ほら、だから、ちゃんと食べて、ね」

たしか魚の缶詰だと言っていた。
……魚なら、『猿肉』の味を思い出すこともあまりないだろうと、思う。

「うん。かわいい、し、それに……
 見たら、メイジとミロクさんの事、思い出せる、から。
 近くにあったら、心強いなって、思ったの」

ありがとうと言って箱を受け取る。
箱の重みにほんの少し、得意げになれたあの日を懐かしく感じた。

「……メイジが、住んでいる所は。
 ミロクさんの教えてくれた場所と、近い?」

ふと、貴方に会える場所を知らない事に気付いた。
自分の行く場所はここだと、ミロクに渡されたメモを見せる。

きっと会えると言ってくれたけど、自分で会いに行ける方法も知っておきたかった。
知りたいと、思った。
(29) sym 2021/07/14(Wed) 19:41:20

【秘】 焦爛 フジノ → 遊惰 ロク

貴方が外から戻ってくると、フジノが近づいてくる。

「お疲れ、様。
 ……外、暑くなってきた、から、喉渇いてないかなって、思って」

そう言って水の入った水筒を差し出した。

「……ロクさんは、救助が来て、その後は、どうするの?
 来たところに、戻るの?」

そも、貴方はどこから来たのだったか。
そういう話を全然していなかったと思い出す。
(-81) sym 2021/07/14(Wed) 19:59:39

【人】 焦爛 フジノ

>>30 メイジ

「そう、だったね。……わかった。
 次に会う時、返してね」

気にしなくていい、という言葉は飲み込んだ。
次の約束を確かにできる口実が、欲しかった。
そんな欲を持ってしまった。
紙を手に取り、書き記された住所をじっと見つめた。

「そんな事……あったら、どうしよう。
 きっと大変で、でも……会った時には、おかしくてお互い、笑っちゃうかも、ね」

駅に名前を書いておこうか、と呟く。
都会ではそういう場所や物があると、学校の本に書いてあった。
そんな知識が役立つことが来るとは思ってもいなかった。
(31) sym 2021/07/14(Wed) 20:18:08

【秘】 遊惰 ロク → 焦爛 フジノ

 キョトン、と。差し出された水筒と少女の顔を見比べて。
 どこか面映ゆそうに受け取る。

「こいつはどうもアリガトウ。
 アハ、ワザワザ用意してくれたのかい」

 それなりに渇いていたのだろう、直ぐに蓋を開ける。
 喉仏が幾度か上下して、一気に中身を目減りさせたのち。

「おれァ、……どうするかなァ。
 ……出てきたとこには戻んねェつもりだけども。
 アー、ここだけのハナシ。親から逃げてきてんだ、おれ」

 まさか
『おっ死んじまう予定です』などと

 馬鹿正直に答える訳にもいくまい。
 シカシ咄嗟に上手い嘘も吐けず、そんな風に返事をした。
(-85) 榛 2021/07/14(Wed) 20:19:01

【秘】 焦爛 フジノ → 遊惰 ロク

「外の作業、手伝えなかったから……できる事、しようと思った、の」

ほっとしたように水を飲む貴方を見た。

「……そう、なの?
 ロクさんも、私も……メイジも。
 似た者同士、だったんだね」

すんなりと信じた。自分の事も、メイジの話もあったから。
貴方が死んでしまうつもりだなんて、思ってもいない。

「……なら、また、会える?
 私、ね。都会に出て、ミロクさんの紹介してくれた所へ、行くの。
 もし、ロクさんも都会へ行くなら……会えたらいいなって、思って」

言いながら、腹を摩った。
(-87) sym 2021/07/14(Wed) 20:27:34

【秘】 遊惰 ロク → 焦爛 フジノ

「――どうだろ、なァ。
 おれァ先のこと、まだ考えてねェからさ」

 “まだ”なんて、言葉の上では小さな、
 けれども総じて大きな嘘を口にする。

 商人がやってくれたのはそういう事だったのか、
 と思い乍ら、回りにくさを覚える口を開く。

「……そうだなァ、もし、都会にでるって決めたら、」

 それから一度水筒の口に唇をつけて、
 その必要もないというのに軽く湿らせる様にして。

「そん時は、もうちっと。
 飯をキチント食えてそうなお嬢サンに、会えたらいいなァ」

 ヘラリと笑って、
あるかも分からぬ
未来を語った。
(-91) 榛 2021/07/14(Wed) 20:48:36

【人】 焦爛 フジノ

>>32 >>33 メイジ

「ほんと?……うん。指切り、しよう」

小指を絡める。
針千本を飲む気も、飲ませる気もない。
きっと貴方は守ってくれるのだ。

「やりたい、事?
 ……なら、次に会った時。教えてね。絶対、だよ」

大学へ。勉強をして、メイジは何をするのだろう。
早く次が来るといい。
そして次にまた、その次へ繋がる口実を二人は作るのだろう。

いつか口実が無くても会えるようになるまで、何度でも。
そうなったらいい。
いつかの未来を願って。
腹に置いていた手を、そっと貴方の手に重ねた。
(38) sym 2021/07/14(Wed) 20:56:15

【秘】 焦爛 フジノ → 遊惰 ロク

「じゃあ、今、考えて……ううん、やっぱり、いい」

じっと貴方を見て、そう言いかけ……途中で口を閉ざした。

「それぐらいなら、するよ。
 見せられるように、する。

 ……その、時は」

腹をそっと撫でる。

「その時は、『この子』を見せる、からね。
 絶対。会いに来て。
 皆に生かしてもらった、子だから」

そう言って、女は笑った。
(-95) sym 2021/07/14(Wed) 20:59:25
フジノは、願った。また、次が、ありますように
(a21) sym 2021/07/14(Wed) 20:59:50