人狼物語 三日月国


246 幾星霜のメモワール

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視点:


【墓】 仕立て屋 エリー

「痣が……」

ガリガリと胸元を搔き毟る。
油断はしていなかった。誰かに触れられてもいない。
ならばこれは魔法か呪いか。

「失せろ。殺すぞ」

いつもの人当たりの良さは消え失せて。
囲み祝福する民衆を押しのけてどこかへ消えていった。
(+1) akoris 2024/02/05(Mon) 22:08:01

【秘】 仕立て屋 エリー → 薄荷 アンジュ

「勇気ならあるんじゃない?
 それを形にするための、先立つものがないだけで」

心の内にあるものを出そうにも、お金がなければ形にならない。
こうして幼い身空で一人、金を稼いでいるだけでも十分勇気があるとは思える。
重圧や責任を負うための資金さえあれば、あなたはきっと大丈夫だとエリーは思っている。

「それなら是非。
 じゃあ、アンジュが見てみたい出店とかある?
 まずはそこに行ってみよう。お金は心配しないでね」
(-14) akoris 2024/02/05(Mon) 22:13:38

【秘】 仕立て屋 エリー → 飄乎 シヴァ

夢か現か。それを把握しても意味はない。
既にもう、夢破れた身なのだから。
自棄気味に浮かぶ泡に触れようとした瞬間、背後から声が聞こえた。

「シヴァ……煽ってるんなら殺すよ」

指輪がカチリ、と音を立てた。
その一部から、針が突き出す。
彼我の距離はまだ少しあるが……
エリーの速度ならばもう、射程圏内だ。
当然、あなたもそれを知っているだろう。
(-15) akoris 2024/02/05(Mon) 22:18:24

【秘】 仕立て屋 エリー → 薄荷 アンジュ

「そうだね、どんな世界でもお金は必須なんじゃないかな」

世知辛い世の中だ。
まぁ、物々交換の時代よりは幾分マシだが。

「化粧品。いいんじゃない?
 やっぱりリップとか? 下地系もほしいよね。
 睫毛は綺麗だからマスカラとかはいらないだろうし……
 アンジュは可愛いし、ナチュラル系のメイクがよさそう」

なんて、少しだけテンションが上がっていた。
(-17) akoris 2024/02/05(Mon) 22:53:04

【秘】 仕立て屋 エリー → 飄乎 シヴァ

「しらばっくれんならいいや。
 それ以上煽らないなら殺さないでおこう」

とは言うものの、指輪の針はしまわない。
集められた痣持ちは自分と同じような境遇と勝手に推理している。

「で、何しに来たの。こんな変なことまでして」
(-29) akoris 2024/02/06(Tue) 0:23:26

【秘】 仕立て屋 エリー → 飄乎 シヴァ

「違う。
 シヴァが私を呪う理由がないでしょ。
 嫌がってるのわかってるクセに煽ってるように見えたから。
 今ならそれだけの理由で人を殺せる。躊躇せずに」

一人称に気をつけられない程度には、苛立っているようだ。
そこにあるのは失意と殺意。聖女とこの世界への怨嗟。

「研究はこっちもしてた。
 痣を光らせる毒と、痣の奇跡を消し去る毒。
 前者は副産物だけど、どっちも痣からの魔力でお釈迦になった。
 ……呼ばれた時、言われたことで全員"そう"だと思うでしょ。普通」

ガリガリと胸を掻く。
服の上からでも、血が出そうなくらいに。
(-36) akoris 2024/02/06(Tue) 3:40:02

【秘】 仕立て屋 エリー → 宝石集め カリナ

小競り合いの愚痴には相槌を打ちつつ、ノンアルカクテルに口をつける。
明確な解決策などを提案したりはしない。
解決したことなのだし、何よりも愚痴に必要なのは共感だと自分は思うからだ。
そうして一頻り話をきいて、恋愛絡みの話に移った。

「まぁ、自分より強い女は嫌だとか、綺麗より可愛い系がいいだとか、自分のことを棚に上げてる意気地無しな男はいるからねぇ。
 ま、でもバカな男が多いんだね。
 こんな綺麗で店をやれる度胸もあって、内面もこうして可愛らしい女の子を大切にしないなんて。
 僕の生まれたクズの掃き溜めならともかく、普通は大切にして、誰にも渡したくなくなると思うんだけど」

じぃ、とあなたの容姿を改めて見る。
整った顔立ちに美しいスタイル。
切れ長な瞳は強気な雰囲気を感じさせるが、こうして目を伏せていると色気すら感じる。
こんな女性を大切にしない男はなんて馬鹿なのだろう。
(-38) akoris 2024/02/06(Tue) 6:14:03

【秘】 仕立て屋 エリー → 飄乎 シヴァ

「……変な腕輪。
 持ち主と痣持ちを強制的に引き合わせて何がしたいんだか」

意味がわからない。意図がわからない。
対象を選べるのならまだしも、意思が絡まないだなんて。

「半分もいたら十分でしょ。
 今回が特別か、ゴミどもの熱狂でかき消されたか。
 どっちにしろ、絶望してるやつを褒めたたえるあのゴミどもは異常……
来ないで


指輪の針をあなたに向ける。
仕込まれているのは神経毒。
解毒をしなければ十数分で末端が麻痺し始め、一刻程度で全身麻痺。
そして更に一刻ほど経てば呼吸もできずに死に至る代物だ。
護身用にしては過剰だが、暗殺用にしては手緩い。

そうしている間にも、胸元の……左胸の痣の辺りを搔き毟る。
(-52) akoris 2024/02/06(Tue) 17:46:52

【秘】 仕立て屋 エリー → 宝石集め カリナ

「そう? 大切な物は誰にも渡したくないでしょ」

さも当然かのように。
少なくとも、自らが培った技術は誰にも渡したくない。

「夢見たって……告白ったりしたの?
 って聞くのも野暮か。ごめんね、忘れて。
 謝らなくても、僕はカリナと話せてるだけで楽しいし」

ちびちびとアルコールのないカクテルを飲み、大きなため息を吐く。

「……ダンソン地方わかる? まぁ、田舎の方だから知らなくてもおかしくない場所なんだけど。
 そのジョヒ地区らへんの出でさ。
 そこがもうヤバいんだよね。女に人権ないみたいな。
 それが常識だから誰も異議を唱えないし、
 唱える女はだいたい見せしめで辱められるし。
 そういうゴミみたいな場所だったら、カリナみたいな美人でも大切になんかされないだろうから。
 僕でも匿うくらいしかできないだろうし……」
(-66) akoris 2024/02/06(Tue) 22:09:52

【秘】 仕立て屋 エリー → 薄荷 アンジュ

「ふんふん、なるほど……」

繕う程度。
化粧に興味があって進んできたというわけではないのか。
まぁ、それでも楽しんで買い物ができるならそれでいい。
なんだかんだと考えている間に、店へ辿り着いていた。
香水も売っていそうな甘い香りがする。

「保湿なら化粧水とか乳液とかは必要だね。
 リップは肌と色を合わせて見たいし……
 まず何から見よっか?」
(-67) akoris 2024/02/06(Tue) 22:17:58

【秘】 仕立て屋 エリー → 薄荷 アンジュ

「ううん……僕としては薬の香りと喧嘩しないなら、
 アンジュからはいい香りがした方がいいと思うよ。
 いい香りは印象をよくするしね」

だけれど、薬草類の香りと喧嘩しない香りを探すのは簡単ではないかもしれない。
いや、店員に聞けばそういったものもあると教えてくれるだろうか。

「あ、でも匂いが強いのは逆効果だからね。
 ふわりと香るくらいのものがおすすめ。
 今のアンジュは……」

と言って、あなたに顔を近づける。
どのような香りがするのだろうか。
(-70) akoris 2024/02/06(Tue) 23:23:54

【秘】 仕立て屋 エリー → 薄荷 アンジュ

「第一印象って大事でしょ?
 見た目以外に声、香りもそれに入るからさ。
 特に客商売なんて中身見せること殆どないんだし」

ぼろきれを着た何者かが売る商品と、見目麗しい女性が売る前者より少し高い同じ商品であれば後者の方が売れるはずだ、などと講釈を垂れて。
化粧水の成分は恐らく薬師のあなたの方が詳しいだろう。
特に口は出さず見ていた。

「薄荷……柑橘系……うん、今の香りなら喧嘩しないと思うし、
 もう少し強くても問題ないかも。
 いい香りだと思うよ、アンジュ」
(-103) akoris 2024/02/07(Wed) 23:43:14

【秘】 仕立て屋 エリー → 飄乎 シヴァ

「もう一度……?」

もう一度なんてあるのか?
あるのならばその時を……
いや、そんな定かではない希望を抱いたって苦しいだけだ。

「……怖いとかじゃない。警告してるだけマシなはず」

ガリガリ、ガリガリ。
綺麗に手入れされた爪であれ、多少は鋭い。
夢でも掻き毟れば血が出るのだろうか。それならば、そろそろ。

「どうでもいい。これから覚めても地獄が待ってるだけ。
 この世界で穢れた私が生きてる限り、夢も現も変わらない。
 ……あぁ、でも起きた方が都合はいいかな。
 痣を削いでみたり、試せないし」
(-104) akoris 2024/02/07(Wed) 23:50:50

【秘】 仕立て屋 エリー → 宝石集め カリナ

「物と一緒だよ。
 あ、人間本人がじゃなくて、人間関係がね。
 大切な相手との関係は大切に、手放さずにいたいでしょ」

「……それにしても、自分のことなんだよね?
 シミュレーテッドリアリティ拗らせてるとかじゃなく。
 まぁ、そういう風には見えないけど」

なんだか自分を別人として俯瞰しているかのように見える。
まぁ、個性の範囲なのかもしれないけれど。

「聞いたことあるんだ。まぁたまに悪評流れるしね。
 あー……僕の場合は狂った環境が嫌になったからかな。
 あと、抜け出せるだけの能力があったから抜け出せた。
 
……少しセンシティブな話かもしれないけど、
 神殿で自分のステータス聞いたことある?
 もしよければ、一部でいいから教えてくれないかな。
 僕も開示するからさ、本当の情報を。一切の嘘偽りなく
(-105) akoris 2024/02/08(Thu) 0:02:56

【秘】 仕立て屋 エリー → 薄荷 アンジュ

「例えばそうだなぁ……んんっ、あー、
あー……


男性の中では高めなハスキーボイスが、更に高くなっていく。

もしもこういう風な声なら喧騒の中でもある程度通るし……
あ、
あー……


次はどんどん低くなり、声が太くなる。

こんな声なら女性が入る服飾店では怖がられそうだよね。

 こほん、だから声も重要な情報だよ。店員を目当てに来る客だっているんだから」

なんて言ってから、あなたの化粧品選びを眺めている。
時折、この色なんてどう? と提案をしつつ。
……こうして化粧品を眺めて選ぶのはいつ振りだろう。

「はは、無理して大人っぽい感じにならなくてもいいんだよ。
 でも何事も経験だし、いいと思う。
 一番大事なのは、自分に似合うものを選ぶことだからね。
 あとは自分の気分を上げるようなのとか。
 お洒落って、自分のテンション上げるためにするようなところもあるしさ」

店員はすぐにやってくるだろう。
購入の時は当然のように財布を出して、改めて支払いはこちらが持つと言った。
これも経費に入れられる。簡単だ。
(-109) akoris 2024/02/08(Thu) 2:47:48

【秘】 仕立て屋 エリー → 宝石集め カリナ

「でしょ?
 だから僕がそういう男なら、カリナのことずっと大切にするのになって。
 あ、もちろん何か特別な事情がない限りね。
 ……まぁ、わかるよ。普通はそうなんだろうなって。僕はほら、生まれがアレだから夢も何もだけど」

目を一瞬細めて、先程までと変わらない表情に。
見方が変わったのは、別の理由なのだろうと思ったのは顔に出さない。
きっと彼女も仲間なのだろう。勝手に思っておく。


「うん、今はかなり楽だよ。楽しいしね。
 こうしてカリナと仲良く話せてるし」

「……普通そうだよね。もちろん内緒にするよ、二人だけの秘密っていうには教会も知ってるけど。
 で、言わなくていいって言ってくれたけど、僕のは……まぁふたつだけでいいか。
AGIがA、DEXがS
なんだ。
 ほんとはあそこ、女子供は出られないように色々細工があるんだけど、全部バラして、見つかっても逃げきれた。
 ……で、何もできない金も持ってない子供が一人で生き残るには、このステータスを悪用するしかなくて。
 言ってる意味、わかる?」

酒を飲んでいるわけではない。
ただ、恐らく仲間であろう人を見つけた喜びで口が軽くなっている。
……全員、同じ境遇だろうとは勝手に推察していたけれど。
(-124) akoris 2024/02/08(Thu) 16:33:29

【秘】 仕立て屋 エリー → 飄乎 シヴァ

銃声が聞こえた。
普段なら避けることなど他愛もない。
銃口と指の動きさえ見ていれば弾をナイフで弾くこともできる。

けれど、これで楽になれるなら。
そう思ってしまった。夢の世界で撃たれても、楽になるはずがないのに。
寧ろ、ここが安息の地だったのかもしれない。
曖昧になっていく意識の中、このまま全ての夢が覚めればいいのに。そんな都合のいいことを思っていた。
(-127) akoris 2024/02/08(Thu) 17:23:32

【独】 仕立て屋 エリー

夢から覚めた後、最初に見たのは周りの景色だった。
日本に帰れていたら。そんな都合のいい夢を望みながら。
当然、そんなことはなく、今となっては見慣れた部屋だ。

「……そんな都合よくはないか。
 ナイフ、どこにあったっけ」

就寝時にまでナイフは携帯しない。
針さえあれば身は守れるし。

起き上がり、ナイトスタンドから適当なナイフを取り出す。
こだわりはないが、中でも切れ味の良さそうなものを。
服を脱いで、窮屈なサラシを解いて。

品質の悪いタオルを噛んで、左胸に浮かぶ光った痣を睨みつけた。
(-129) akoris 2024/02/08(Thu) 18:39:11
エリーは、胸にナイフを突き立てた。
(c2) akoris 2024/02/08(Thu) 18:49:33

【独】 仕立て屋 エリー

ナイフで痣を抉る。抉る。抉る。
血が流れ、皮膚が、脂肪が剥ぎ取られていく。

痣が取れるまで。見えなくなるまで。
ぐちゃり。ぐちゃり。

鮮血で紅く染まっても、痣は光り続ける。
皮膚も、肉も、削ぎ落としたのに、そこに痣は"ある"のだ。
どうしようもない。これは呪いだ。
解呪のできない呪い。そんなものが物理的に剥がせるはずがない。
流れる血もそのままに再びベッドへ倒れ込んだ。

願わくば、このまま夢へと落ちて……二度と覚めませんように。
(-130) akoris 2024/02/08(Thu) 19:18:04