人狼物語 三日月国


69 【R18RP】乾いた風の向こうへ

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視点:


【雲】 le chien セト


   あなたには、素敵な名がお有りでしょうに。


[ 猫に向かって話した提案を、
  自身のことだと思ったのか>>D35
  それとも冗談めかして言ったのか。
  
  含みを持たない瞳の輝きはどうやら前者のよう。
  呆れを通り越して可笑しくて、ふ、と笑った。]


   ピヤール、pyar───
   良い名ですね。
   少なくとも、ルシアンよりはずっと。
 
(D0) yukiyukiyuki 2021/04/20(Tue) 8:39:20

【雲】 le chien セト


[ 妙なことにここが気に入ったのか、
  冷たい床が心地良いのか、
  人間の思惑によって名を変えられる不運な猫は、
  そんなことどうだって良いのだとでも言いたげに
  くるりと丸くなり、尾に顔を埋めて
  目を閉じている。

  規則正しく上下する温かい背に
  そっと手を沿わせ、吐息をひとつ。 ]


   ……あなたは、不思議な方ですね。
   ほんとうにあの人のお嬢様ですか。
 
(D1) yukiyukiyuki 2021/04/20(Tue) 8:40:36

【雲】 le chien セト


[ すうすうと寝息を立てる猫を
  丸くなった姿勢のままそっと抱き上げる。
  よいしょ、と声を上げて立ち上がり、
  ゆっくりと格子の向こうの飼い主の元へ、
  数歩、歩く。

  食事をやり取りする小さな扉を開けて、
  受け取ってもらうように猫を差し出した。

  突然動いた己にも、ふわりと浮いたはずの
  自分の身体にも、ちらりと片目を開けただけで、
  暴れもせずまた眠る。

  物怖じしないのは飼い主譲りなのか、と
  吹き出しそうになった。 ]
 
(D2) yukiyukiyuki 2021/04/20(Tue) 8:41:57

【雲】 le chien セト


   あなたと話していると、
   忘れていた己というものが甦るようです。
   心折れず、俺が俺として居られる。


[ しなやかな毛皮は手を離れただろうか。
  近づけば、彼女の瞳はずいぶん下にあった。 ]


   俺は、いつか必ず此処を出る。
   帰る郷はもう無いが、この国にも
   己の自由はないからです。

   ……だから、此処にあなたが来ることは、
   決して良いことではない、と思うのですよ。

   俺は、あなたのことは嫌いではないが、
   あなたの父上のことを残念ながら
   好いてはいないのです。


[ わかりますか、と瞳に力を込めた。 ]
 
(D3) yukiyukiyuki 2021/04/20(Tue) 8:43:36

【雲】 le chien セト


[ 俺が此処から出るために、
  あなたを利用するようなことは
  したくないのだ、と、言いかけて、
  飲み込んで、やめた。 
  彼女と話すことが、己にとって生きる糧に
  なっている事実に気づいてはいながらも。 ]


   パンと、飲み物をありがとうございました。
               ・・・・・・・・
   くれぐれも迷子になる際は人目に気をつけて。

   ─── ピャール、またね。*
 
(D4) yukiyukiyuki 2021/04/20(Tue) 8:46:23

【秘】 le chien セト → 貴族の娘 アウドラ




   
Bonne chance à vous deux.
*


 
(-0) yukiyukiyuki 2021/04/20(Tue) 8:48:18
le chien セトは、メモを貼った。
(a0) yukiyukiyuki 2021/04/20(Tue) 8:49:59

【雲】 le chien セト


[ 幸せを祈る言葉は、二人分。

  異国の呂律は彼女にはわからなかったようで、
  なぁに?と振り返る姿は、
  陰鬱な地下に咲いた大輪の花の如く
  とても美しいと思った。

  なんでもないというふうに首をそっと振って
  睫毛を伏せて。 ]
 
(D10) yukiyukiyuki 2021/04/20(Tue) 18:18:51

【雲】 le chien セト

 *

[ 困ったことに彼女は迷子を卒業したようで、
  それから幾度となく此処を訪れる。

  ・・・・・・
  自らの意思で。
  時には、彼女の小さな友と一緒に。

  良くないことと知りつつも、
  彼女が来ると場の空気が穏やかに、
  ゆったりと流れることに気づいていた。

  荒んだ心が彼女の清らな佇まいに包まれ
  次第に凪いでいく。
  時折、わざとか偶然か、
  その細く白い指が己のものと絡んだりすれば、
  とん、と心臓が跳ねることさえあった。 ]
 
(D11) yukiyukiyuki 2021/04/20(Tue) 18:20:03

【雲】 le chien セト


[ 無論、女性と触れるのが初めてと
  言うわけではない。
  久しく感じることがなかった柔い身体に、
  抑圧された男の性が顔を覗かせている訳でも
  ないよう。

  そう、それはきっと。

  豪奢なドレスに身を包み、
  何不自由なく暮らしていて尚、己と同じように
  本当の自由というものを知らず、
  焦がれている、美しい少女。

  この清廉な彼女に己は惹かれているのだと、
  理解は出来ても認めてしまうのは
  なんとも恐ろしいことだった。
 ]
 
(D12) yukiyukiyuki 2021/04/20(Tue) 18:21:54

【雲】 le chien セト


   そうですね、ずいぶん大きくなりました。
   一人で鼠を獲ったり出来るように
   なったかな。


[ 己の膝の上を昼寝のベッドにして安らぐ
  ピヤールの、ずしりと感じる重さを
  頭に浮かべてふふと笑う。
  生憎今日はいないようだ、
  大凡陽だまりの下にでもいるのだろう。 ]


   ……外で?
   あなたが?


[ なんの前触れもなく、
  突然問われた質問に>>D9眉がぴくりと動いた。 ]
 
(D13) yukiyukiyuki 2021/04/20(Tue) 18:23:54

【雲】 le chien セト


   …………そう、ですねぇ。
   まぁ、無謀と言うか、

   無謀でしょうね。


[ くっくっと意地悪く笑う。 ]


   外は自由ではあるが、危ないことも多い。
   あなたのようなお嬢様が、
   なにも知らずにひとり外へ出て
   容易く暮してゆけるほど、
   この国の情勢は今、整ってはいないでしょう。


[ そっと彼女の表情を窺う。
  傷つけたようなら、すみません、と謝って。 ]
 
(D14) yukiyukiyuki 2021/04/20(Tue) 18:27:27

【雲】 le chien セト


   ─── ご結婚、とでもなれば、
   別なのでしょうね。

   ……なにか、あったのですか?


[ あまりに突然の純粋な問いかけに、
  少し怪訝な表情を返した。
  彼女の父になにか言われたり、
  勘付かれたりしたのではないか。
  ふと、そんなことを思う。

  勘、と言うものは、侮れないものだ。
 ]**
 
(D15) yukiyukiyuki 2021/04/20(Tue) 18:27:52

【雲】 le chien セト


   鼠の死体を得意げに咥えて持ってきたとて、
   嫌悪感を滲ませて叫んだりしては
   いけませんよ。
   ピヤールを褒めてあげてくださいね。


[ 貴族の娘にあるまじき、
  地面にドレスの裾が擦れるほどに
  しゃがみこんだ姿勢の彼女と>>D16
  いつものように壁に背を預け
  床に足を投げ出して座る己の視線は
  柔らかく絡む。

  精神的な隔たりが少しずつ解けるに従って
  物理的にも距離は詰まった。

  初めの頃とは、座る位置が少し変化していて。
  格子から離れた部屋の隅に居たのが、
  今は床について伸ばした手は、
  白い手が外から侵入し、己の指を
  容易く掬い絡め取ることが
  容易になるほどにすぐ、側で。 ]
 
(D20) yukiyukiyuki 2021/04/21(Wed) 13:49:43

【雲】 le chien セト


[ 彼女の口から出た唐突にも思えた
  疑問の理由>>D17がぽつりと聞こえる。
  
  なんとなく、想像がついていたことだ。
  
  僅かに眉が動くだけで、
  表情が大きく乱れたり変化することはない。

  ただ、言葉の最後に、
  消えそうに小さな声で呟かれたことには、
  思わず目を見張った。 ]
 
(D21) yukiyukiyuki 2021/04/21(Wed) 13:50:37

【雲】 le chien セト


   ─── 馬鹿なことを。
   あなたの相手が俺になるなど。


[ 珍しく、いつもより大きな声は微かに震えた。

  住む世界の違いに気付かぬほど、
  考えのない娘とは思えないのだけれど。

  嗚呼、やはり、ここへ来ていることは
  正しくはなかった。
  わかりきっていたことなのに、
  己の甘さに反吐が出そうだ。
 ]
 
(D22) yukiyukiyuki 2021/04/21(Wed) 13:51:46

【雲】 le chien セト


   ……良いと、思いますよ。
   お父上が連れて来られた方であれば、
   申し分のない男性でしょう。


[ 平静を装って、婚姻を勧める。
  彼女を利用してここから出ようなどという
  考えはいつのまにか、何処かへ消えていて。

  彼女の幸せを願う想いだけが残っているようで。]
 

   そういうことなら、今度こそ此処へは
   来ないほうが良い。
   俺はいつでもあなたとピヤールの幸せを
   祈っています。


[ ふ、と口元を三日月の形に持ち上げて
  彼女から視線を逸らした。 ]
 
(D23) yukiyukiyuki 2021/04/21(Wed) 13:53:29

【雲】 le chien セト

 *

[ 彼女から婚姻の話を聞いて、しばらく。
  彼女の父に閨に呼ばれた際、
  あえて己のほうから、

  そういえばお嬢様のご結婚、
  誠におめでとうございます、と
  完璧な笑顔を添えて言ってやった。

  幾つもの修羅場を潜ってきたであろう
  彼女の父は、取り乱すようなことこそ
  なかったが、それでも生意気な犬から
  不遜な事実を聞き出そうと
  様々な方向性からの陵辱や暴力を
  与えることになった。 ]
 
(D24) yukiyukiyuki 2021/04/21(Wed) 13:56:42

【雲】 le chien セト


[ 呻き声ひとつ、あげることを拒みながら。

  薄ら遠のく意識の寸前には、
  心配しなくても手は出してねェよ、と
  言ってやった。

  不敵に見えるよう笑んだつもりだったが、
  上手くいっただろうか。

  そのまま、視界は闇に沈んだ。 ]*
 
(D25) yukiyukiyuki 2021/04/21(Wed) 13:57:31

【独】 le chien セト

/*
うちのお嬢様が無防備で天然で可愛すぎる件
(-46) yukiyukiyuki 2021/04/21(Wed) 16:47:22

【秘】 貴族の娘 アウドラ → le chien セト



   無事に届いているかしら。
   明日には輿入れ。
   来世で幸せになりたいわ。
   あなたとなら、どんなところでも
   幸せになれると思っていたのだけれど
   さようなら、私の大切な人。

   



(-57) anzu_kin_ 2021/04/21(Wed) 20:24:28

【雲】 le chien セト


[ 嗚呼、やはり。>>D27
  責めるような、縋るような声が、
  澱んだ空気をひりつかせる。

  いい年をして、彼女の言いたいことが
  わからないはずもなかった。
  けれど、どうしようもないではないか。
  あの主のもとにいる限り。
  そうして己の飼い主は彼女の父なのだから。


  アウドラにと彼女の父親が選んだ相手が
  どんな人間か、そんなことは
  どうでも良かった。>>D27
  ただ、彼女を大切にしてくれるなら。
  彼女が幸せなら、それで良かったのだ。 ]
 
(D31) yukiyukiyuki 2021/04/21(Wed) 23:01:26

【雲】 le chien セト


[ 自分自身に言い聞かせるように
  ぽそりと呟いて>>D28
  こちらを見ることも
  別れの挨拶もないまま去っていく姿。

  翻るドレスの裾はいつもと変わらないはずなのに、
  やけに重く、いつまでもその場に残像が残るよう。

  まるで幼子が、母親の衣服の袖を握りしめて
  引っ張って離さないような。

  そんなふうにそのゆうるりと揺れる
  柔らかな生地を、白い指ごと掴んで
  引き留めることが出来れば

  どんなに、と─── ]
 
(D32) yukiyukiyuki 2021/04/21(Wed) 23:02:39

【雲】 le chien セト


[ 彼女が幸せならそれで良いと思っていた。
  意思を無視して諸々の事情のみで与えられた
  婚姻であっても、その全てが
  不幸というわけでもないだろう。

  けれど、彼女は。
  自身の足で、自身の手で、
  掴みたかったのではないだろうか。
  そんなことをふと思う。

  その相手が己だったと自惚れて良いなら、
  えらく泥濘んだ道を選んだものだと
  苦い笑みも浮かんだ。 

  同時に、何もかも与えたつもりで、
  何もかもを奪い、全てのことから彼女を
  ひとりにする彼女の父親に、
  今まで以上の怒りを感じた。 ]
 
(D33) yukiyukiyuki 2021/04/21(Wed) 23:04:14

【雲】 le chien セト

 *

[ なぁお、と鈴を転がすような声がする。
  目を閉じたままの頬にざらざらとした鈍い痛み。
  ゆっくり持ち上げる瞼が重い。
  こつん、と滑らかな毛皮に包まれた
  小さな頭が擦り寄せられたのがわかった。]


   ………… ピヤール。


[ 希少な宝石よりずっと煌びやかに輝く
  エメラルドグリーンの瞳。

  ふ、と息を吐いて、久しぶりだね、と
  声を掛けた。 ]
 
(D34) yukiyukiyuki 2021/04/21(Wed) 23:05:36

【雲】 le chien セト


   ……君のご主人は、元気かい?


[ 訛りのように重い腕を動かして頭を撫でる。
  身体中の傷と痛みで、起き上がることは諦めた。

  喉もとをそっと掻いてやろうとした時、
  美しい首輪に結ばれたものに気付く。>>D29

  両手をどうにか伸ばし、首輪から外そうとした。
  がたがたと震える両手で、
  それが傷つかないように外すのは
  存外に苦心したが、優秀な配達猫は自慢げに
  じっと座って喉を鳴らしていてくれた。]
 
(D35) yukiyukiyuki 2021/04/21(Wed) 23:06:50

【雲】 le chien セト


[ 別れの言葉。

  今まで幾度となくここで会い、
  けれど聞いたことのなかった、
   
Au revoir

  さよなら───


  ぎり、と唇を噛み締めた。
  このままでは、きっと。 ]
 
(D36) yukiyukiyuki 2021/04/21(Wed) 23:09:17

【雲】 le chien セト


[ がり、と音を立てて、歯で薬指の皮膚を破く。
  ぷつぷつと湧き上がる赤い滴を、
  そのまま己の唇に塗った。

  ここには返事を返すためのペンも、紙もない。
  感謝を、もしくは朧な愛を告げるための
  花も、宝石も。
  言葉すら、届かない。

  ならば。

  その手紙の隅に、そっと唇を押し付けた。

  血の赤が、唇の形に咲く花のように
  見えただろうか。 ]
 
(D37) yukiyukiyuki 2021/04/21(Wed) 23:10:30

【雲】 le chien セト


   ─── ピヤール、ありがとう。
   返事を書いたんだ。
   また、お使いを頼める?


[ 乾いたことを確認して、
  もとのようにピヤールの首輪に手紙を結んだ。

  届かなかったら、それはそれで良いのだ、と。

  なぁお、とピヤールの声が凛と響く。
  良い子、と頭を撫でれば、
  また、目の前に暗幕が張った。 ]**
 
(D38) yukiyukiyuki 2021/04/21(Wed) 23:12:04

【独】 le chien セト

/*
アーサーさんがとてもすごい
語彙と文体が美しいのに読みやすい…
(-89) yukiyukiyuki 2021/04/22(Thu) 13:38:37